2003 Fiscal Year Annual Research Report
腸管膜構造と機能修飾による薬物の有効かつ安全な吸収改善及びその予測システムの開発
Project/Area Number |
15590140
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
林 正弘 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (20012669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 幹雄 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (60207610)
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Keywords | Tight Junction / P-Glycoprotein / 吸収改善 / 膜抵抗 / トランスポーター |
Research Abstract |
吸収改善薬として酒石酸(TA)およびピロチオデカン(PTD)を用いて、ラット、ラビット腸管に対する作用を検討した。 1.TAのラット結腸に対する作用は、In Vitro拡散チャンバーによる検討から、TAが高濃度では膜抵抗の減少すなわちTight Junction(TJ)の開口作用を、低濃度では排出(分泌)トランスポーターであるP-Glycoprotein(P-gp)の基質であるRhodamin 123(Rho123)の分泌方向での透過性低下すなわちP-gp抑制作用を示した。In Situループ法での検討からもP-gpへのTA抑制効果が確認され、その作用には部位差が存在することも見出された。なお、これらのTA作用は細胞内に取り込まれたTAによるアシドーシスを通して、誘発された可能性が示された。 2.PTDもウサギ直腸、結腸に対してTJを開口する作用が見出された、その作用は、肥満細胞から産生されるヒスタミンH_2受容体を介した機構であることが示唆された。またPTDはTJ開口作用に加えてP-gp抑制作用も有しており、特に直腸・結腸では濃度依存的にRho123の分泌方向の透過を抑制したが、空腸、回腸では膜抵抗低下作用はなく、P-gp抑制作用のみが示された。 3.以上、TAとPTDの吸収改善作用は膜構造変化であるTJ開口作用と膜機能変化であるP-gp抑制作用から成ることが示された。今後はこれらの変化の関連性を含めた詳細な機構解明が必要である。またこうした膜への作用の可逆性は血流の存在しないIn Vitroでは完全には証明できていない。今後はIn Vivoでの検討に加えて、共焦点レーザー顕微鏡を用いた膜の視覚的観察も必要である。
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Research Products
(1 results)