2003 Fiscal Year Annual Research Report
最適な医薬品使用のための飲食物成分の吸収動態と薬物吸収への影響とその定量的解析
Project/Area Number |
15590141
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
水間 俊 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (80229715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 正弘 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (20012669)
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Keywords | 腸管吸収 / 腸管代謝 / 培養細胞 / バイオアベイラビリティ / 相互作用 / 食物成分 / 薬物速度論 / Caco-2 |
Research Abstract |
(1)Caco-2細胞における第II相代謝反応を、モデル薬物であるαナフトールを用いて検討した。その結果、Caco-2細胞はグルクロン酸抱合代謝活性および硫酸抱合代謝活性を保持していることが、Transwellを用いた単層培養細胞において検出できた。さらに本研究により、Caco-2細胞のセルサスペンジョンにおいても、両抱合代謝活性を捉えることができることを初めて示した。αナフトールの硫酸抱合代謝は、ヒト腸管において硫酸抱合代謝を受けるとされているイソプロテレノールおよびテルブタリンにより有意に阻害され、かつαナフトールの吸収は上昇した。このことから、本実験系により、腸管硫酸抱合代謝を介した薬物の相互作用を示すことができた。また、両薬物によるαナフトールの代謝阻害様式はそれぞれ異なっていることが、セルサスペンジョンを用いた検討により明らかとすることができた。このように、当初の目標である抱合代謝および相互作用を検知できるCaco-2細胞を用いたin vitro実験系を確立できた。 (2)梅肉含有のベンジルβグルコシドの腸管吸収動態をラット小腸を用いて検討した。ベンジルβグルコシドは血管側に出現し、吸収されることが示された。また、一部はベンジルアルコールへと代謝されること、さらにはNa^+/glucose cotransporter (SGLT1)によりベンジルβグルコシドが能動的に吸収することも明らかにした。加えて、このSGLT1を介した吸収が、ベンジルβグルコシドの腸管アベイラビリティの上昇を引き起こすという知見も得ることができた。本研究により見い出した「担体を介した輸送(吸収)が腸管アベイラビリティを上昇させる」という結果は、初めての知見であると思われる。
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