2003 Fiscal Year Annual Research Report
メカニズムに基づいたPK-PD解析モデルによる医薬品最適投与計画の再評価
Project/Area Number |
15590144
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
掛見 正郎 大阪薬科大学, 薬学部, 教授 (00019134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 誠 大阪薬科大学, 薬学部, 助手 (10319593)
岩永 一範 大阪薬科大学, 薬学部, 助手 (20257900)
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Keywords | 時間薬理学 / 日内変動 / 糖尿病治療薬 / スルホニルウレア / PK-PD解析 / トルブタミド |
Research Abstract |
近年「時間薬理学」に関する研究の必要性が認識されるようになり、生体恒常系の日内変動を考慮した薬物投与計画の設定、DDS製剤の設計などが、ようやく注目されるようになってきた。本研究は特に生体恒常系のフィードバック調節系に着目し、投与された薬物の生体内動態(PK)と、薬理効果(PD)との関係を、生体恒常系の日内変動を含めた「メカニズムに基づいたPK-PD解析」を行うことで定量化し、これを使用して新しい投与計画設定法の確立を目指すものである。本年度は血糖値に着目し、スルホニルウレア(SU)系糖尿病治療薬であるトルブタミド(TB)のPK-PDに及ぼす日内リズムの影響についてラットを用いて検討を行った。血糖値には15時頃を頂点とする有意な日周リズムの存在が認められているが、TBを6時または18時に単回i.v.bolus投与した後の血漿中非結合型薬物濃度は、今回のPK解析の結果、日周リズムは全く影響しないことが明らかとなった。一方、TBの血糖低下効果は6時投与に比べて18時で有意に大きいことが判った。この血漿中TB濃度と血糖低下効果を「日周リズムを組み込んだ結合モデル」を用いて解析を行ったが、両時刻の血糖低下効果を単一のPK-PDモデルで説明することはできなかった。この原因を究明するためTBによるインスリン(IRI)分泌を測定したところ、IRI分泌は急激かつ一過性であり、その量は6時に比べて18時に著しく亢進していることが明らかとなった。そこでTB投与量と血漿中IRI濃度を直接関連づけて解析したところ、両時刻の血糖低下効果は、単一のPK-PDモデルで説明することが出来た。このことはSU剤を長時間作用させた場合は、血漿中薬物濃度のみからでは判断できない薬効メカニズムに変化が生じている可能性が示唆され、次年度以降への研究課題として残されることとなった。
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Research Products
(1 results)