2004 Fiscal Year Annual Research Report
老人痴呆に対する新規治療法の開発-鼻腔内投与による神経成長ペプチドの脳内送達-
Project/Area Number |
15590145
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Research Institution | Shujitsu University |
Principal Investigator |
坂根 稔康 就実大学, 薬学部, 助教授 (50215638)
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Keywords | 鼻腔内投与 / ペプチド / 脳脊髄液 / 脳内送達 |
Research Abstract |
生理活性ペプチドを用いた研究に入る前に、まず、サイズの小さいオリゴペプチドを用いて、その鼻粘膜透過性および分解と脳脊髄液(CSF)への移行性との関係を検討した。エンケファリン誘導体(ENK)をラット鼻腔内あるいは静脈内に投与し、経時的に採血すると同時に、一定時間経過後に大槽穿刺法によりCSFを採取した。静脈内投与後、CSF中のENK濃度は定量限界以下の濃度であったが、鼻腔内投与後にはCSF中に検出することができた。しかし、その濃度は他の低分子薬物と比較すると、ENKの分子量から予想される濃度よりも小さく、鼻腔内あるいは鼻粘膜透過の際の分解がENKのCSFへの移行性に大きな影響を与えている可能性が示唆された。吸収促進剤の併用は、前年度で得た結果と同じく、CSFへの移行性よりも血液への吸収性を顕著に増大させた。しかしながら、生理活性ペプチドはENKに比較すると、分子量が相当大きく、吸収促進剤の使用を検討せざるを得ない可能性もあり、生理活性ペプチドをモデルとする際も検討する価値はあると考えている。一方、タンパク分解酵素阻害剤を併用した場合、血液中へ吸収およびCSFへの移行性の双方が増大したが、CSFへの移行性の増大がより顕著であり、タンパク分解酵素阻害剤の利用が有効であることが示された。前年度の検討で明らかとなった薬理効果を評価するペプチドの条件をもとに、モデルペプチドの選択を次に行った。定量に関しては、表面プラズモン共鳴現象を利用したビアコアシステムを利用するため、モノクローナル抗体が入手可能なペプチドを条件として検討した。その結果、insulin, insulin-like growth factorなどが候補となった。現在、ビアコアシステムによる測定系の開発を行っており、測定系が完成すれば同様の動態試験を行う予定である。
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