2004 Fiscal Year Annual Research Report
排卵に関与する遺伝子の動態の検索による排卵機構の解明
Project/Area Number |
15590160
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山田 輝夫 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (00033225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 貴子 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (20116437)
佐々木 順造 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30093686)
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Keywords | 排卵 / 卵胞閉鎖 / 顆粒細胞 / アポトーシス / 遺伝子 / DNAマイクロアレー / ゴナドトロピン / 免疫組織化学染色 |
Research Abstract |
【はじめに】 研究は、未成熟期における卵胞の成熟と閉鎖の発生状況と、その機序の解明を目的として、雌性Wistar系ratを用いて、生後35日目までと、生後24日目にPMSG ip 48時間後にhCG ipし、その10時間後に、それぞれ、経時的に卵巣を摘出して卵胞細胞のapoptosis(Ap)、細胞周期蛋白、estrogen受容体(ER)、血管形成について組織化学的に観察すると伴に、PMSG ip後とhCG ip後には、卵巣内の遺伝子の変動をDNA micro arrayを用いて解析した。 【結果】 1.生後0〜3日目には、多くの卵そのものが、さらに、生後25〜30日目には約50以上の卵胞においては、その顆粒細胞がApを生じ、閉鎖卵胞に陥ることが観察され、未成熟期においては卵巣内の卵は、二段階の整理を受けること、また、生後5〜20日目には全ての卵巣細胞は、成熟することが判明した。 2.生後24目目からPMSGおよびhCG(gonadotropin(Gn))を投与した時には、卵胞内顆粒細胞にApは、認められず、全ての卵胞は成熟して排卵に至ることが認められた。Gn投与後の遺伝子の変動は、増加したものが、TNFなどのcytokine類など他、約40種類があり、減少した遺伝子は、ILGFなど他、約40種類が検出された。 【考案ならびに結語】 1.生後0〜3日目に出現した卵のApの機序は、本研究からは明らかではないが、生後25〜30日目に認められた卵胞内顆粒細胞のApから閉鎖卵胞を起こす機序は、血液中のFSHが減少し、卵胞周囲の血管形態が維持出来なくなるとともに、顆粒細胞でのestrogenの産生が減少した結果、閉鎖卵胞を招いたと考えられる。 2.生後5日目からは血管形成も認められ始め、血液中のFSHも増加することから、全ての卵胞細胞は、成熟し、卵胞も大きくなっていったと考えられる。[血液中FSHの量については、Dohlerら(1975)による] 3.生後24日目にGnの投与を行うことにより、卵胞周囲の血管形成・形態は維持され、卵胞内顆粒細胞においてestrogenの産生が増加し、卵胞は成熟し、排卵を招いたと考えられる。本研究でmicro array分析の結果からGnを投与することにより、数多くの遺伝子が増・減することが判明し、排卵には種々の多くの遺伝子が関与していることが明らかとなった。Gn投与後に増・減した遺伝子の組織(細胞)内での局在に関しては、今後、in situ hybridizationなどの分析方法を用いて明らかにし、排卵への関わり合いについて検討していく。
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Research Products
(6 results)