2004 Fiscal Year Annual Research Report
Bax発現系による発生過程で起こるニューロン死のメカニズム解析
Project/Area Number |
15590165
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 昇 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (00254756)
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Keywords | 細胞死 / Bax / ニワトリ胚 / トリレトロウイルス / Tet-on / 網膜 / 脊髄神経節 / 運動ニューロン |
Research Abstract |
Baxは細胞死を促進させるBcl-2遺伝子ファミリーの一つであり、KOマウスを用いた解析から発生で起こるニューロン死で重要な役割を果たしていることが知られている。本研究課題ではBaxをトリレトロウイルスベクターRCASBPを用いてニワトリ胚へ強制発現させて、網膜、脊髄神経節、脊髄運動ニューロンで起こる神経細胞死を解析した。その結果、これらの神経細胞集団においてニューロン死の時期に一致して細胞死が増強し、ニューロン死の時期が終了した後の生存ニューロン数は減少することが明らかになった。同様の神経細胞集団であってもニューロン死の時期の以前ではBaxが強発現しても細胞死を引き起こさないことも明らかになった。興味深いことに頚髄で早期に起こる運動ニューロン死においては、導入されたBaxは死につつある運動ニューロンでは活性型として機能していることが示唆されたが、頚髄運動ニューロン死を増強しなかった。より詳細に検討するためにテトラサイクリンで遺伝子発現誘導が制御されるようなBax発現系を構築して早期頚髄運動ニューロン死を解析した。その結果、野生型Baxはウイルスを用いた結果と同様にニューロン死に影響を及ぼさなかったが、常時活性型Baxはこのニューロン死を顕著に増強することが明らかになった。以上の結果から、Baxがin vivoで機能するためには発現しているのみでは十分でなく細胞死を引き起こすシグナルが必要であることが明らかになった。またそのような細胞死を引き起こすシグナルは、頚髄で早期に起こる運動ニューロン死においては死ぬべき細胞に限定して伝達されている可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)