2003 Fiscal Year Annual Research Report
胚心臓発生過程でおこる心内膜床領域決定での転写因子TBX20の役割
Project/Area Number |
15590170
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
山岸 敏之 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (60255122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 裕司 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80207795)
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Keywords | TBX20 / 心臓発生 / 心内膜床 / ニワトリ胚 |
Research Abstract |
最初にTbx20の全長の塩基配列を決定し、次に心臓発生過程での発現時期と場所の詳細を調べるためにin situハイブリダイゼーションを行った。その結果、Tbx20は、stage4より観察され、stage5では心臓予定領域の中胚葉に見られた。この領域でのTbx20の発現は、stage6になるとより強くなった。stage8になると、Tbx20は心筋細胞の分化する臓側中胚葉にのみ発現が観察できた。その後、両側の中胚葉が融合し、心筒が形成される頃には、Tbx20は心筒全体で発現した。stage12になり心筒がループ形成し始める時期には、Tbx20の発現は心筒の前方と後方で強くなり、stage14では流出路と房室管領域に発現した。このとき、房室管領域の心内皮細胞にも弱い発現が見られた。stage16以降、流出路と房室管領域の心内膜床領域で、Tbx20は心筋細胞、心内皮細胞、間葉細胞に強く発現した。心内膜床でのTbx20の発現は、胎児に相当するstage33まで続いた。また流出路の心内膜床には神経堤細胞も侵入しmesenchymal condensationを形成するが、Tbx20はこの領域にも発現した。stage26から30までは、Tbx20は右心室に強く発現したが、stage33以降では心室領域での発現は弱くなった。以上のin situハイブリダイゼーションの結果と、心臓で発現する別のTbx遺伝子、Tbx5、-2との発現パターンを比較したところ、心臓に発現するTbxは時間的にも空間的にも異なって制御されていることが明らかになった。また、胚全体を通してTbx20の発現を見てみると、おもに中胚葉、外胚葉に由来する組織で発現することも明らかになった。
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