2004 Fiscal Year Annual Research Report
Notchシグナル遺伝子操作による心血管形成の分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
15590175
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
富松 宏文 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (90197939)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 幸子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (40231451)
小久保 博樹 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 助手 (10270480)
|
Keywords | Notchシグナル / 心臓血管形成 / hesr遺伝子 / 発生 / マウス |
Research Abstract |
細胞膜レセプターであるNotchを含むNotchシグナル伝達系は、昆虫からホ乳類まで種を超えて保存され、胚発生に関わる細胞内シグナルメカニズムである。細胞と細胞の直接的な接触を介する情報伝達で中心的な役割をするNotchシグナルはHairy/E(spl)-related bHLH repressor (hesr)を介して、脊椎動物における神経発生、筋形成などを抑制する。心臓血管形成においてもNotchファミリー受容体としてNotch1,2,4、またそのリガンドとしてのDelta4、Jag1などの関与が示唆されている。 我々は、Notchシグナル伝達系の標的遺伝子であり転写因子であるhesr1,2,3の機能を解析するため、全てのノックアウトマウスを作製した。hesr1及び3のノックアウトホモマウスでは異常を認めなかったが、hesr2ノックアウトホモマウスでは心臓に異常を認めた。異常は心機能の低下、三尖弁および僧帽弁の逆流と低形成、心室中隔欠損及び心房中隔2次孔欠損であった。これらの結果よりhesr2が、房室弁形成と心筋形成に重要な役割を果たすことが示唆された。今年度は、hesr1とhesr2のダブル変異体を作製し解析した。この変異体は約10.5日で胎生致死で、心臓と血管に異常を認めた。心室中隔の形成が認められず1心室であったが、左右の心室に発現する遺伝子は正常であった。房室心内膜床では上皮間葉転換が全く認められず細胞外基質のみであった。また、動脈分化の異常が認められ、ephrinB2と平滑筋アクチン発現が動脈で認められなかった。以上の結果より、hesr1およびhesr2は心臓形態形成と動脈-静脈分化に重要な因子であることが明らかとなった。
|
Research Products
(5 results)