2004 Fiscal Year Annual Research Report
心臓ペースメーカー細胞における背景外向き電流の生理的役割に関する研究
Project/Area Number |
15590182
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Research Institution | Akita University School of Medicine |
Principal Investigator |
尾野 恭一 秋田大学, 医学部, 助教授 (70185635)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 学 秋田大学, 医学部, 講師 (80302090)
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Keywords | 洞房結節 / ペースメーカー機転 / 外向き電流 |
Research Abstract |
背景カリウム電流の同定およびそれに付随した研究結果より主として下記の4項目において治験を得た. 1.背景カリウム電流の部位差および種差:ラット心房筋細胞の背景K^+電流は,その薬理学特性が4回膜貫通型K^+チャネル(TASK)に類似しており、TASKが背景K^+電流として機能している可能性が示唆された。一方,ウサギ洞房結節細胞の背景K^+電流は4-aminopyridineにより抑制され,種あるいは部位により異なるK^+チャネルが関与していることが示唆された.さらに,ブタ洞房結節細胞では背景外向き電流の振幅が非常に小さく,このことが心拍数の種差を決定する一つの要因と考えられた. 2.ブタ洞房結節細胞の活動電位形成に関する検討:ブタ洞房結節細胞においては背景外向き電流の振幅が小さいこと以外に,内向き電流系についても他種との相違点が認められた.そこで,ブタ洞房結節細胞のL型カルシウムチャネルの特徴について,電気生理学的および分子生物学的解析をおこなった. 3.心筋K^+電流に対する吸入麻酔薬の作用:吸入麻酔薬はTASK電流を活性化する一方,緩徐活性型遅延整流K^+電流を選択的に抑制することを示した.心室筋細胞の活動電位持続時間はsevofluraneにより有意に延長した.これらのことから,sevofluraneは,IKsを抑制することによりQT延長を来す可能性があることが示唆された. 4.生理活性物質による新たな心拍調節機構:Thromboxane A2が洞房結節細胞の発火頻度を促進することを見いだした.本作用は,L型カルシウム電流や過分極活性化陽イオン電流の振幅増大を引き起こさない.cAMP系以外のセカンドメッセンジャーを介する新たな心拍促進機構の存在が示唆された.
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Research Products
(5 results)