2004 Fiscal Year Annual Research Report
PIP_2による心筋緩徐活性型遅延整流性K^+チャネルの制御とその生理的意義の解明
Project/Area Number |
15590184
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
松浦 博 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (60238962)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 維光 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (80242973)
豊田 太 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (90324574)
|
Keywords | PIP_2 / I_<Ks> / パッチクランプ法 / ATP / P2Y受容体 / 活動電位 / 活動電位持続時間 / 心筋細胞 |
Research Abstract |
本年度は,細胞膜ホスファチジルイノシトール4,5-二リン酸(PIP_2)の心筋緩徐活性型遅延整流性K^+チャネル(I_<Ks>)に対する抑制作用の生理的意義を明らかにする目的で,モルモット単離心房筋細胞にパッチクランプ法を適用して実験を行った.その結果,以下のことが明らかとなった. 1.細胞外ATP(【greater than or equal】0.1μM)はP2Y受容体刺激を介してI_<Ks>活性を増大させるが,そのシグナル伝達機構としてGq-ホスホリパーゼC(PLC)の活性化による細胞膜のPIP_2の減少が主要な役割を果たしている.すなわち,細胞膜に存在するPIP_2はI_<Ks>に対して持続的に(恒常的に)抑制作用をおよぼしており,P2Y受容体-Gq-PLC経路の活性化に伴う細胞膜PIP_2濃度の減少はI_<Ks>の増大に結びつくと考えられた. 2.P2Y受容体刺激により活動電位持続時間(APD)は2相性に短縮するが,初期相(ATP投与1分以内)はムスカリン性カリウムチャネル(I_<K, ACh>)の活性化が,後期相(ATP投与1分以降)はI_<Ks>の増大が主に関与している(APD:コントロール,66.1±5.2ms;初期相,19.9±1.6ms;後期相,35.4±2.9ms, n=5).すなわち,細胞膜PIP_2はチャネル(I_<Ks>及びI_<K, ACh>)活性の修飾を介して心筋APDの調節にも関与していることが明らかとなった. これらの実験結果により,ほ乳類心筋細胞において細胞膜PIP_2によるI_<Ks>の修飾はGq-PLCと連関した受容体による膜興奮性の制御に密接に関わっていることが強く示唆された.
|
Research Products
(7 results)