2003 Fiscal Year Annual Research Report
左心室虚血による非虚血領域右心室でのA_1受容体upregulationの機構
Project/Area Number |
15590193
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
國分 眞一朗 日本大学, 医学部, 教授 (20153520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日台 智明 日本大学, 医学部, 講師 (70228732)
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Keywords | 心筋虚血 / アデノシンA_1受容体 / preconditioning |
Research Abstract |
アデノシンはあらゆる細胞に偏在する生体化合物であり、種々のアデノシン受容体のサブタイプと結合することによりさまざまな生理学的効果を示すが、心臓においてアデノシンA_1受容体は心筋虚血に対する保護作用に関与することが示唆されている。これはいわゆるpreconditioningといわれる概念であり、軽度の限局性心筋虚血の既往がある患者は、重度の広範囲な虚血に対して心筋の非可逆的損傷が、心筋虚血に暴露された既往のない患者に比較して、低い程度と狭い範囲に限られるという臨床知見から提出されたものである。そこで、本研究ではpreconditioningにおけるアデノシンA_1受容体の役割を明らかにすること目的としてラット虚血再灌流心を用いて研究を行い、以下の結果を得た。 (1)左冠状動脈前下行枝を絹糸にて結紮し作成した虚血再灌流心群では、コントロール群に比較しA_1受容体mRNAの発現が増加していることをノーザンブロッティング法にて確認した。 (2)インサイツハイブリダイゼーションの結果より、A_1受容体の発現は虚血部位ではなく、右心室壁ならびに左心室後壁に著名であることが示された。 (3)定量PCRにて心室筋各部位におけるA_1受容体mRNA発現を検討したところ、右心室領域において、虚血時には何の変化も観察されなかったが、虚血再灌流後5分でA_1受容体mRNA発現量の増加を認め、10分後にはその発現量が6倍以上に増加した。一方、虚血領域である左心室においては虚血5分でA_1mRNA発現量の優位な増加を認めたものの、再灌流時にコントロールのレベルにまで減少し、その後変化を認めなかった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Chiaki Hidai: "FGF-1 enhanced cardiogenesis in differentiating embryonal carcinoma cell cultures, which was opposite to the effect of FGF-2."Journal of Molecular and Cellular Cardiology. 35. 421-425 (2003)
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[Publications] Tomohiro Nakayama: "Graves' disease associated with anticardiolipin antibody positivity and acquired protein S deficiency."Rheumatol Int. 23. 198-200 (2003)
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[Publications] Tomohiro Nakayama: "Haplotype Analysis of the Prostacyclin Synthase Gene and Essential Hypertension."Hypertens Res. 26. 553-557 (2003)
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[Publications] Chiaki Hidai: "Specific regulation of nucleocytoplasmic distribution of poly(C)-binding protein gene mRNA in mouse development."Biochemical and Biophysical Research Communications. 309. 339-343 (2003)
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[Publications] 風間 宏美: "細胞外気質タンパクDel1による血管内皮細胞間の接着の制御"日大医学雑誌. 62(8). 420-424 (2003)
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[Publications] Tomohiro Nakayama: "Missense mutation of exon 3 in the type A human natriuretic peptide receptor gene is associated with myocardial infarction"Med Sci Monit. 9(12). CR505-CR510 (2003)