2003 Fiscal Year Annual Research Report
脂溶性物質が膵導管細胞における陰イオンチャネルに与える影響に関する研究
Project/Area Number |
15590196
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
相馬 義郎 大阪医科大学, 医学部, 助手 (60268183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宗宮 浩一 大阪医科大学, 医学部, 助手 (20319544)
窪田 隆裕 大阪医科大学, 医学部, 教授 (10084906)
進藤 昌彦 大阪医科大学, 医学部, 副手
石黒 洋 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 助手 (90303651)
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Keywords | 膵臓 / 外分泌 / 膵導管細胞 / 重炭酸イオン / コレステロール / bicarbonate secretion / pancreatic duct / CFTR |
Research Abstract |
I)エタノールの膵導管細胞における陰イオンコンダクタンスへの影響 相馬と進藤は、ホールセルクランプ法を用いて、Forskolinによって活性化されたモルモット単離膵導管細胞の陰イオンコンダクタンスへの1mMエタノールの影響を重炭酸緩衝溶液中にて測定した。その結果、1mMエタノールは、陰イオンコンダクタンスの大きさおよびそのCl^-/HCO_3選択性に対して、特に影響を与えないという結果が得られた。石黒が行った実験では、1mMエタノールがSecretin刺激下における膵液分泌速度を上昇させると同時に分泌液の重炭酸イオン濃度を減少させることを示したが、これらのエタノールの効果は膵導管細胞の管腔側膜の陰イオンコンダクタンスのCl^-/HCO_3選択性を変化させることによって引き起こされたものではなく、エタノールが分泌刺激中の導管細胞内のクロライドイオン濃度を上昇させることによって管腔内へのクロライドイオン分泌速度が増加し、それによって膵液分泌速度を上昇および重炭酸イオン濃度の減少が引き起こされた等の可能性が示唆される。 II)小分子量脂溶性物質のCFTRチャネル活性への影響とその作用機構 相馬とHwang(海外共同研究者)は、比較的小分子量の脂溶性物質であるanthracene-9-carboxylic acidやbenzoic acidなどの芳香族カルボン酸が、CFTRチャネルに対してシングルチャネルコンダクタンスの低下と開口確率の増加という2つの異なる作用を持つことを示した。また、シングルチャネルコンダクタンスの低下は、薬剤がチャネルポア内部にある結合サイトに早いkineticsで結合する(fast block)ことによって起こり、また、開口確率の増加はチャネルポア内部以外の細胞内ドメインにある結合サイトに薬剤が直接結合することによって引き起こされることを明らかにした。CFTRチャネルのイオン輸送能に対して、それぞれ抑制および促進という相反する2つの作用を同時に示すことが、これらの脂溶性物質が膵外分泌に複雑に作用する理由であると考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Sheppard DN, Gray MA, Gong X, Sohma Y, et al.: "The patch-clamp and planar lipid bilayer techniques : powerful and versatile tools to investigate the CFTR Cl^- channel"Journal of Cystic Fibrosis. 印刷中. (2004)
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[Publications] Yamamoto A, Ishiguro H, Ko SB, Suzuki A, et al.: "Ethanol induces fluid hypersecretion from guinea-pig pancreatic duct cells"Journal of Physiology. 55・3. 917-926 (2003)
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[Publications] Naruse S, Ishiguro H, Suzuki Y, Fujiki K, Ko SBH, et al.: "A finger sweat chloride test for the detection of the high-risk group of chronic pancreatitis"Pancreas. 印刷中. (2004)
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[Publications] Fujiki K, Ishiguro H, Ko SBH, Mizuno N, Suzuki Y et al.: "Genetic evidence for CFTR dysfunction in Japanese : background for chronic pancreatitis"Journal of Medical Genetics. 印刷中. (2004)