2004 Fiscal Year Annual Research Report
アンギオテンシンIIによる炎症性サイトカイン産生促進機序に関する分子生物学的研究
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15590209
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Research Institution | National University Corporation Tottori University |
Principal Investigator |
渡邊 達生 国立大学法人鳥取大学, 医学部, 教授 (60182929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三好 美智夫 国立大学法人鳥取大学, 医学部, 助手 (20093627)
永田 克己 国立大学法人鳥取大学, 医学系研究科, 助手 (30208011)
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Keywords | アンギオテンシンII / AT_1受容体 / NF-κB / AP-1 / LPS / IL-1 / ラット |
Research Abstract |
近年私たちは、細菌性内毒素(lipopolysaccharide ; LPS)によるラットの肝臓・脾臓・脳でのinterleukin-1β(IL-1β)mRNAとIL-1βタンパクの産生にアンギオテンシンII (angiotensin II ; ANG II)とその1型受容体(AT_1受容体)が関与することを世界で初めて証明した。そこで昨年度から今年度にかけて私たちは、LPSが炎症性サイトカインmRNAを誘導する際に働く転写因子[nuclear factor-kB (NF-kB)とactivator protein-1 (AP-1)]が、ANG IIによるサイトカイン産生促進に関与する可能性を肝臓と脾臓で検討した。その結果、LPSによる肝臓のNF-kBの活性化は、ANG変換酵素(ACE)阻害薬及びAT_1受容体拮抗薬により有意に増強した。一方、AT_1受容体拮抗薬は、LPSによる脾臓のAP-1の活性化を促進した。以上の結果から、内因性のANG IIは転写因子の活性を抑制しているものと考えられる。LPSによる肝臓・脾臓でのIL-1βの産生に対するANG IIの促進作用には、転写因子の活性化が関与していないことが分かった。しかし、肝臓・脾臓などの臓器はマクロファージ系の細胞だけでなく複数の種類の細胞の集合体である。細胞によってANG IIの転写因子への作用が異なる可能性が想定されるので、細胞レベルでの検討が必要である。従って本年度はさらに、LPS刺激に応じてANG IIが転写因子の活性化を引き起こし、LPSと共にIL-1β産生を誘導する可能性をin vitroの実験系を用いて検討した。細胞培養系の確立から始めてマクロファージの培養に着手したが、明確な実験結果が得られず、結局本年度は細胞培養系の確立だけに終わった。来年度以降、この系を用いた検討を続けていく所存である。
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Research Products
(2 results)