2003 Fiscal Year Annual Research Report
血圧・心拍数の調節に時計遺伝子clockはどのように関与するか?
Project/Area Number |
15590210
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
勢井 宏義 徳島大学, 医学部, 助教授 (40206602)
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Keywords | 時計遺伝子 / clock / サーカディアンリズム / 血圧 / 心拍数 / マウス / テレメトリ |
Research Abstract |
血圧・心拍数には、活動期に高く安静期に低いという日内リズムが存在する。血圧・心拍数は、行動や睡眠などに影響されるが、基本的にはサーカディアンシステムによって、その日内リズムが調節されている。サーカディアンシステムは、時計遺伝子群における転写・翻訳のフィードバックループがその基礎にあるとされている。今回、血圧・心拍数が時計遺伝子(ないしはその産物)によって、どのように調節を受けているかを明らかにすることを目的に、clock遺伝子変異マウスを用いて実験を行い、下記のような成果を得た。まず、無麻酔・自由行動下のマウスにおける血圧計測のシステムを構築した。血圧計測にはテレメトリシステムを使用した。左総頚動脈に、血圧測定用送信器のカテーテルを挿入し、送信器本体は腹部皮下に留置した。このシステムにより、約1ヶ月間、血圧を連続的に計測できる。心拍数は血圧の波形から算定した。12時間明期12時間暗期の照明調節下で、clock遺伝子変異マウスの血圧・心拍数のサーカディアンリズムは、野生型に比べて振幅が大きく低下していた。血圧の振幅の低下は、安静期の血圧低下が見られないためで、一方、心拍数の振幅の低下は、活動期の心拍数上昇がないことによるものであった。clock遺伝子の変異によって血圧・心拍数のリズムが崩れ、高血圧かつ徐脈になることが明らかになった。また、血圧・心拍数ともに、その頂点位相は、野生型に比べて大きく後退していた。これは、すでに観察している体温や睡眠・行動の結果と一致するものである。今後、clock遺伝子の変異が、どのような経路で高血圧・徐脈を引き起こすのか、明らかにしていく。
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