2003 Fiscal Year Annual Research Report
ラット内側視索前野内のGABA分泌調節とゴナドトロピン分泌の性差
Project/Area Number |
15590212
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
美津島 大 横浜市立大学, 医学部, 講師 (70264603)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舩橋 利也 横浜市立大学, 医学研究科, 助教授 (70229102)
|
Keywords | 性差 / GABA / マイクロダイアリシス / 黄体形成ホルモン / フィードバック / エストロジェン / ゴナドトロピン放出ホルモン / GnRH |
Research Abstract |
ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)は視床下部-下垂体-性腺系を調節する最上位のホルモンである。内側視索前野(MPO)内の全てのGnRHニューロンはGABAの影響下にあることがマウスを用いた実験で証明された。我々は自由行動状態のラットから24時間以上安定してin vivoマイクロダイアリシスを行う手技を確立し、2002年にMPO内における雌雄ラットのGABA分泌動態をはじめて明らかにした。本研究ではまず、MPO内GABA分泌動態に見られる性差の原因を探るため、性腺を摘除して同一の高エストロジェン環境を再現した雌雄のラットで、24時間のGABA分泌動態と血清中LH濃度の検討を行った。エストロジェン封入シリコンチューブをラットの背側皮下に植え込むと、雌性では午前に高く午後に低い明確なGABA分泌の日内変動が確認され、午後にはLHサージが発生した。一方、雄性ではGABA分泌量は午前午後共に高く、LHのサージ状分泌は全く見られなかった。以上より、MPO内GABAニューロンは、雌性では視床下部-下垂体前葉-性腺系の正のフィードバック系に、雄性では負のフィードバック系に参画し、ゴナドトロピン分泌の顕著な性差に貢献していると考えられた。さらにこのMPO内GABA分泌の機序を探るため、電位依存性Naチャネル阻害薬であるTTX(10μM)を人工脳脊髄液に溶解し、卵巣摘除ラットのMPO内に直接灌流投与して、その後のMPO内GABA分泌に対する影響を検討した。その結果、TTXはMPO内GABA分泌量を急激に低下させたが、約1/3のGABA分泌は依然維持された。 以上より、MPO内GABA分泌には電位依存性Naチャネルを介した分泌経路の他に、電位依存性Naチャネルを介さない分泌経路も貢献することが明らかとなった。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Mitsushima D. et al.: "Sexual dimorphism in the GABAergic control of gonadotropin release in intact rats"Neuroscience Research. 46. 399-405 (2003)
-
[Publications] Masuda J. et al.: "Female rats living in small cages respond to restraint stress with both adrenocortical corticosterone release and acetylcholine release in the hippocampus"Neuroscience Letters. 358. 169-172 (2004)
-
[Publications] Mitsushima D. et al.: "Sex differences in the stress-induced release of acetylcholine in the hippocampus and corticosterone from the adrenal cortex in rats"Neuroendocrinology. 78. 234-240 (2003)
-
[Publications] Mitsushima D. et al.: "Rats living in small cages respond to restraint stress with adrenocortical corticosterone release but not with hippocampal acetylcholine release"Psychoneuroendocrinology. 28. 574-583 (2003)