2004 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚冷却によって誘起される非ふるえ熱産生における視床下部GABAの役割
Project/Area Number |
15590218
|
Research Institution | National Institute of Health and Nutrition |
Principal Investigator |
大坂 寿雅 独立行政法人国立健康・栄養研究所, 栄養所要量研究部, 主任研究員 (30152101)
|
Keywords | 非ふるえ熱産生 / 寒冷 / 交感神経 / 酸素消費率 / GABA / 視索前野 |
Research Abstract |
ウレタン・クロラロース麻酔人工呼吸ラットの視床下部視索前野に300mM GABAを両側性に100nl注入したところ酸素消費率と心拍数が増加し、大腿や頸部に筋電図反応が誘起された。GABA_A受容体作動薬である0.1mMムシモールを注入した場合にもこれらの反応が誘起され、その持続時間は長かった。これらの反応は注入部位が視索前野背側部の場合に限局して誘起され、腹側部や脳室周囲部への注入では反応がなかった。筋弛緩剤を静脈内に前投与しておくとGABA注入に対する筋電図反応は消失したが、酸素消費と頻脈の反応は影響されなかった。一方、βアドレナリン受容体の阻害薬であるプロプラノロールを静脈内前投与した場合にはGABA注入に対する筋電図反応には変化がなかったが、酸素消費と頻脈の反応はともに大きく減弱した。したがって、本実験条件下では主として非ふるえ熱産生が誘起されたことが分かった。これらの反応は体幹皮膚を2-6℃程度下がるように冷刺激を行った時の熱産生反応とよく似ていた。そこでGABA_A受容体拮抗薬である0.5mMビックキュリンを視索前野背側部に注入しておくと皮膚冷刺激による酸素消費・頻脈・筋電図反応が誘起されなくなった。これらの結果から、視索前野背側部は熱産生を常時抑制しており、皮膚の冷情報がGABAおよびGABA_A受容体を介してこの部位を抑制することによる脱抑制が寒冷時非ふるえ熱産生誘起に重要であることが分かった。
|
Research Products
(3 results)