2004 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経系の発生・分化におけるPPARγの作用とそのメカニズムの解明
Project/Area Number |
15590227
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
和田 孝一郎 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (90263467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上崎 善規 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (40116017)
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Keywords | 中枢神経 / PPARγ / 神経幹細胞 / 分化・増殖 / レンチウィルスベクター / Cell cycle / アポトーシス / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
中枢神経系の発生および発達に関しては、不明な点が多くより詳細な研究が求められている。我々は、マウス胎児脳より単離した神経幹細胞を用いて、神経幹細胞の増殖、および神経細胞への分化におけるPPARγや転写調節因子の作用とそのメカニズムについて研究した。 神経幹細胞は、正常細胞にもかかわらず細胞増殖が可能であり、かつ接着刺激などにより神経細胞へ分化することで神経細胞を供給している源と考えられており、再生医療などの分野で注目を集めている。しかしながら神経幹細胞の分化・増殖をコントロールしている機構については未解明な部分が殆どであり、PPARγなどの転写調節因子の研究は、全く新しい機構の発見につながると考えられる。興味深いことにPPARγやいくつかの転写調節因子活性化薬では、神経幹細胞の増殖を促進したが、ある種の環境ホルモンなどは逆に神経幹細胞の増殖を抑制し、アポトーシスを引き起こすことを明らかにした。我々は、これらの前年度に見出した知見を基に更なる研究を進め、レンチウィルスベクターを用いたPPARγ経路を効果的にノックダウンする方法を開発した。この方法は、これまでsiRNAによる遺伝子のノックダウンが難しいといわれてきた神経幹細胞など増殖の早い細胞で、はじめて効果的な遺伝子ノックダウンを可能にした。この系を用いてPPARγ経路が神経幹細胞の増殖に必須であることを証明した。さらにノックアウトマウスを用いた解析により、中枢神経系のごく初期の発達に重要であることが示された。今後、PPARγ経路の更なる重要性を明らかにする必要があるものと考えられる。 本年度の研究で我々が見出した成果は多くの学会で発表されたほか、シンポジウムとしても取り上げられた。また多数の学術雑誌に発表され、その一部は総説として掲載された。
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Research Products
(6 results)