2004 Fiscal Year Annual Research Report
循環動態変化に伴う心血管系組織のmitoATP感受性Kチャネルと活性酸素産生関連
Project/Area Number |
15590230
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
木村 正司 国立大学法人香川大学, 医学部, 助教授 (30253264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安部 陽一 国立大学法人香川大学, 医学部, 教授 (10047227)
宮武 明 国立大学法人香川大学, 総合生命科学実験センター, 助教授 (80211598)
西山 成 国立大学法人香川大学, 医学部, 助手 (10325334)
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Keywords | 高血圧 / アンジオテンシン / 活性酸素 / 心筋虚血再環流障害 / ミトコンドリア / アドレナリン受容体 / MAPキナーゼ |
Research Abstract |
心臓・血管系ミトコンドリア(mito)におけるエネルギー代謝に関連した活性酸素及び細胞内シグナリングを病態急性期について明らかとする目的で、急性循環負荷モデルラットにおける循環動態と心臓・大動脈におけるMAPK活性に対する抗酸化薬(tempol)とmitoATP感受性Kチャネル(mitoKATP)作用薬の効果を比較検討した。 雄性ラットを用いてAngiotensin II(AngII)急性投与による活性酸素依存性心血管系MAPK活性(phospho-ERK1/2,p38,JNK)の上昇が観察された。同様の効果はα1アドレナリン受容体刺激薬であるphenylephrineでも認められ、この結果は報告された(Hypertension,2004;43:117-24)。さらにtempol処置により慢性高血圧では血圧の正常化が認められるが、急性昇圧に対しては降圧効果を認めなかった。本研究では、急遽AngII持続静脈内投与中の活性酸素依存性血圧維持機構を視野に入れ検討し、12時間でほぼ完全に活性酸素依存性の血圧維持に移行することを認めた。ラット生体を用いてのAngII依存性高血圧の時間経過に伴う活性酸素依存性の移行についての結果は、J Hypertens(2004;22:2161-68)誌に、また総説としてJ Pharmacol Sci(2004;96:406-10)誌に掲載報告された。さらにβアドレナリン受容体刺激薬(Isoproterenol;ISO)の急性投与によっても用量依存的に生体心筋での活性酸素依存性MAPK活性の上昇を確認し、また慢性ISO持続投与によって引き起こされる心肥大に対してtempolが左室繊維化を抑制することを見出し、Cardiovascular Res(2005;65:230-8)誌に発表掲載された。 以上のことを背景に、AngII刺激による心筋、大動脈の活性酸素の由来についてmitoKATP阻害薬である5-HDを用いて比較検討した。興味深いことに、5-HD処置によりAngIIで誘導される心血管系MAPK活性増強のうちp38とJNKの両者が抑制され、ERK1/2には影響を認めなかった。さらにAngIIは、培養血管平滑筋mito内膜電位を低下させており、ラット生体胸部大動脈の検討結果と併せてHypertension(2005;45:438-44)誌に、また心筋虚血再環流障害におけるAngII前投与によるプレコンディショニング作用を確認し、この効果も同様にミトコンドリア由来活性酸素の重要性が認められ、結果はHypertension誌に掲載予定である。
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Research Products
(7 results)