2003 Fiscal Year Annual Research Report
心臓機能の発達変化および種差に関する研究:マウスの特殊性から種差の普遍化へ
Project/Area Number |
15590235
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
重信 弘毅 東邦大学, 薬学部, 教授 (50012654)
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Keywords | マウス心筋 / 活動電位 / 変力作用 / α-作用 / Na+,Ca2+-交換 / エンドセリン / アンジオテンシン / Rho kinase |
Research Abstract |
本研究の大きな柱は、少なくとも見かけ上のマウス心筋の機能的特殊性であるが、その中で心室筋に関しては、交感神経α受容体刺激、エンドセリン-1(ET-1)、およびアンジオテンシンII(AII)が陰性変力作用を現すことと、心房筋に関しては、アセチルコリンが陽性変力作用を示し、それが心内膜内皮細胞からのプロスタグランジン(PG)の遊離を介するということが、他の動物種との際立った現象論的差異となっている。本年度は、これらの特殊な薬物作用のメカニズムの研究の中から、論文化にまで到達できた下記の2点を報告する。 1)α受容体刺激に対するマウス心室筋の陰性変力反応に関して、各種の選択的拮抗薬を用いて検討した結果、この反応がチロシンキナーゼ、D-phosphatide phosphohydrolase経路、およびプロテインキナーゼCの活性化を介していることを示唆する知見が得られた。そして最終的には、これまで確認してきたようにreverse modeのNa+,Ca2+-交換反応を活性化することによって陰性変力作用を現すものと考えられる。ここに至って、この反応に関するメカニズム解明が一応の決着をみたと言える。 (J. Pharmacol. Sci.,92:196-202,2003参照) 2)心室筋とは対照的に心房筋においては、ET-1、AII、およびPGF2αは陽性変力作用を現すが、このメカニズムについて検討した。Rho-associated kinase(ROCK)の阻害薬であるY-27632を存在させることにより上記の薬物による陽性変力反応が抑制されたことからこの反応にはRho/ROCK経路が関与していることが示唆された。対照的にβ受容体刺激による陽性変力反応にはこの経路は関与しないことも明らかとなった。 (J. Pharmacol. Sci.,92:424-427,2003参照) 3)心筋の興奮収縮連関に関する心房と心室の差異に関して総説2報をpublishした。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Nishimaru, K., Tanaka, Y., Tanaka, H., Shigenobu, K.: "Pharmacological evidence for involvement of phospholipase D, protein kinase C, and sodium-calcium exchanger in alpha-adrenoceptor mediated negative inotropy in adult mouse ventricle"J.Pharmacol.Sci.. 92. 196-202 (2003)
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[Publications] Nishimaru, K., Tanaka, Y., Tanaka, H., Shigenobu, K.: "Inhibition of agonist-induced positive inotropy by a selective Rho-associated kinase inhibitor, Y-27632"J.Pharmacol.Sci.. 92. 424-427 (2003)
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[Publications] Tanaka, H., Kawanishi, T., Shigenobu, K.: "Atrio-ventricular difference in myocardial excitation-contraction coupling-influence of T-tubules and endocardial endothelium"Recent Res.Devel.Physiol.. 1. 253-262 (2003)
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[Publications] Tanaka, H., Kawanishi, T., Shigenobu, K.: "Optical bioimaging : from living tissue to a single molecule : atrio-ventricular difference in myocardial excitation-contraction coupling-sequential versus simultaneous activation of SR Ca2+ release units-"J.Pharmacol.Sci.. 93. 248-252 (2003)