2004 Fiscal Year Annual Research Report
筋肉系細胞分化における共通したシグナル伝達系と転写制御機構の解明
Project/Area Number |
15590246
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 謙一郎 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90238105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 克志 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70296565)
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Keywords | 骨格筋細胞分化 / シグナル伝達 / IGF-I / IRS-1 / SHP-2 / SHPS-1 / PI3K / PKB(Akt) / ERK |
Research Abstract |
昨年度は平滑筋細胞における形質依存性IGF-Iシグナルの制御機構を解析し、IGF-Iの血管平滑筋細胞に及ぼす両面性効果(分化型形質維持と脱分化誘導)はRasを介したシグナルのon-offに依存しており、この制御にIRS-1/SHP-2が重要であることを明らかにした。本年度は骨格筋細胞分化におけるIGF-Iシグナルの役割を筋芽細胞(L6及びC2C12)を用いて解析した。IGF-I受容体を介したPI3K/PKB経路は筋分化(骨格筋分子マーカーの発現・筋管形成)に決定的な役割を果たすが、ERK経路に関して相違が認められた。L6細胞をIGF-Iを含む分化培地で分化誘導さす際に、MEK阻害剤(PD98059)で処理すると筋管形成が著しく促進される。C2C12細胞では同処理で骨格筋分子マーカーの発現が促進されるが、筋管形成は著明に抑制された。L6細胞ではIGF-I刺激でがチロシンリン酸化されたIRS-1にPI3Kp85,SHP-2,Grb2が結合し、PKB、SHP-2、及びERKが活性化されるが、PKBとSHP-2の活性化は持続性であるのに対し、ERKの活性化は一過性であった。C2C12細胞でも同様に、分化誘導によりPKB及びSHP-2が活性化されるが、ERKの活性化レベルはL6細胞と比較して低い。C2C12細胞においてもPI3Kp85はチロシンリン酸化されたIRS-1に結合するが、SHP-2はIRS-1ではなく、チロシンリン酸化されたSHPS-1と結合した。以上の結果から、平滑筋細胞の分化型形質維持及び骨格筋細胞分化に決定的な役割を演じるPI3K/PKBは供にIGF-I受容体/IRS-1を介した経路により活性化されることと、SHP-2は分化状態または分化誘導で活性化されることが両筋肉細胞に共通していた。しかし、その活性化経路は骨格筋細胞間でも相違があり、多様性が認められた。
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Research Products
(3 results)