2003 Fiscal Year Annual Research Report
神経回路形成期におけるチロシンホスファターゼPTPδ及び相互作用分子の機能解明
Project/Area Number |
15590250
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
中村 史雄 横浜市立大学, 医学部, 講師 (10262023)
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Keywords | チロシンホスファターゼ / ニューロピリン / プレキシン / PTPδ / Sema3A / 神経回路形成 |
Research Abstract |
1)PTPδに結合する100kDaチロシンリン酸化タンパク質の同定及び機能解析 100kDaチロシンリン酸化タンパク質をMALDI-MS解析にて同定し、Zinedinを得た。HEK293T細胞にPTPδとzinedinを共発現させ、相互作用を確認した。しかしZinedinはHEK293T細胞中ではチロシンリン酸化されず、現在この相互作用の意義は不明である。 2)Plexin-A4に結合する100kDaチロシンリン酸化タンパク質の同定 Plexin-A4の細胞外領域に対する抗体を作成し、マウス脳を可溶化した分画からの免疫沈降を試みた。100kDaにはチロシンリン酸化されたタンパク質は見いだされなかったが、120KDaのチロシンリン酸化タンパク質が会合していることがわかった。現在このタンパク質の同定を試みている。 3)ADE2、Fyn、PTPδの相互作用の解析 ADE2はPTPδのD2領域に結合すること、さらにADE2のSAICAR領域がこの結合に関与することがわかった。しかしこの結合はD1領域の酵素活性は変化させなかった。 4)PTPδと細胞外で相互作用する分子の検索および解析 PTPδには選択的スプライスにより細胞外領域の長さが異なるものが4つ存在する(A,B,C,D)。そのうち、3つのイムノグロブリン様(Ig)領域を持つC,Dが、Sema3Aの受容体であるニューロピリン1(NRP1)に数nMの親和性で結合することがわかった。この結合はPTPδC,Dの最初のIg領域と、NRP1のCUB領域との相互作用と考えられた。CUB領域はSema3Aが結合する領域と同じであり、Sema3AとPTPδC,D細胞外領域は競合関係にあると考えられた。実際にPTPδDの細胞外領域はSema3AのNRP1への結合を阻害し、さらにSema3Aによる脊髄後根神経節の退縮反応を阻害した。
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