2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト細胞のヒ素化合物感受性に関与する遺伝子の探索と解析
Project/Area Number |
15590277
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
秋山 伸一 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60117413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 龍彦 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (40219100)
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Keywords | ヒ素 / 耐性 / シスプラチン / ABCトランスポータ / ABCB6 |
Research Abstract |
ヒ素化合物はAPLのみならず、骨髄腫、骨髄異形成症候群、ATL等にも有効であることがわかり、さらに固形腫瘍に対しても臨床試験が行われている。しかしながら、初回治療時からヒ素に反応しない細胞や治療している間に耐性になる細胞が出現しヒ素による治療を困難にしている。我々はヒト類表皮癌KB細胞から、ヒ素耐性KAS細胞を分離した。KAS細胞はヒ素に22倍、シスプラチンに17倍耐性である。 これらの耐性に関係した遺伝子を探索するために、親株と耐性株での遺伝子発現の差異をMichael M.Gottesman博士(LCB部長)らが開発したABC-TOXI chip microarrayで解析し、KAS細胞で発現が亢進している遺伝子群を同定した。その中にミトコンドリアに発現するABCトランスポーターであるABCB6の発現が亢進していたので、ABCB6cDNAをKB-3-1細胞にトランスフェクトし、ABCB6を安定に発現している細胞株KB-B6を作製した。KB-B6細胞はヒ素に4、2倍、シスプラチンに7倍耐性であった。これらのことから、ABCB6がミトコンドリアからヒ素やシスプラチンを細胞質に輸送し、これらの薬剤からミトコンドリアを保護することにより耐性を獲得していることが示唆された。ABCB6の輸送基質はこれまで良くわかっておらず、我々の研究によりそれが一部明かとなった。さらに新しいシスプラチン耐性の機構が示された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Nakajima Y: "Inhibition of metastasis of tumor cells overexpressing phosphorylase by 2-deoxy-L-ribose"Cancer Res.. (In Press).
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[Publications] Wang X: "Breast cancer resistance protein(BCRP/ABCG2) induces cellular reistance to HIV-1 nucleoside reverse transcriptase inhibitors"Mol.Pharmacol.. 63. 65-72 (2003)
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[Publications] Mukai M: "Reversal of the resistance to STI571 in human chronic myelogenous leukemia K562 cells."Cancer Sci.. 94. 557-563 (2003)
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[Publications] Ren X-Q: "Localization of the GSH-dependent photolabelling site of an agosterol A analog on human MRP1."Br.J.Pharmacol.. 138. 1553-1561 (2003)
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[Publications] Ikeda R: "Thymidine phosphorylase inhibits apoptosis induced by cisplatin."Biochem Biophys Res Commun.. 301. 358-363 (2003)
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[Publications] Mitsuo M: "Binding site(s) on P-glycoprotein for a newly synthesized photoaffinity analog of agosterol A."Oncol Res.. 14. 39-48 (2003)
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[Publications] 秋山伸一 (共著): "臨床腫瘍学"癌と化学療法社. 2031 (2003)