2004 Fiscal Year Annual Research Report
HOILユビキチンリガーゼのB型肝炎ウィルスXタンパク質の機能に与える影響
Project/Area Number |
15590279
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
徳永 文稔 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (00212069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩井 一宏 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60252459)
桐浴 隆嘉 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (30347497)
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Keywords | ユビキチン / B型肝炎ウイルス / 肝細胞癌 / トランス活性化 |
Research Abstract |
B型肝炎ウィルス(HBV)感染は肝炎や肝細胞癌発症の主要病因であり、世界的には肝癌の約50%がHBV感染に起因する。HBVは3.2kbのゲノム中に4つの遺伝子をもち、その病原タンパク質として16.5kDaのXタンパク質(HBx)が同定されている。HBxは宿主細胞内のタンパク質と会合し、遺伝子転写を亢進することで細胞を癌化させると考えられている。また、我々が細胞内鉄代謝因子IRP2のユビキチンリガーゼとして発見したHOIL-1は、HBxに結合する因子として同定されていたが機能は未同定であったXAP3と同一であった。これはHBVがユビキチンシステムを利用し、病態を発現している可能性を示唆する。そこで、本助成研究で我々は、HBVによる肝癌発症におけるユビキチン系の関与を明らかにする目的で、HOIL-1とHBxとの細胞内相互作用及びHBxの遺伝子転写亢進活性への影響を解析した。その結果、HOIL-1は新規RING型タンパク質と細胞内で結合していること、HBxはHOIL-1ユビキチンリガーゼ複合体に会合し、3者複合体を形成することを明らかにした。また、HOIL-1リガーゼ複合体はNF-κB経路を活性化し、HBxはその転写亢進活性を相乗的に増強することをルシフェラーゼ活性によって明らかにした。さらに、NF-κB経路の活性化はp65の核移行、ゲルシフトアッセイ、IκBαのリン酸化によっても確認された。NF-κB経路活性化にはユビキチンリガーゼ複合体の活性が必要であり、リガーゼ活性を欠失する変異体はNF-κB経路をドミナントネガティブ的に抑制した。NF-κB経路は炎症のみならず、炎症によって惹起される発癌に深く関与することが知られるシグナル伝達経路であり、本研究からHBxがユビキチンリガーゼ複合体を利用することでこの経路を特異的に活性化し肝細胞発癌を引き起こす可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)