2005 Fiscal Year Annual Research Report
全身性自己免疫疾患モデルマウスにおける免疫寛容破綻をもたらす責任遺伝子の探索
Project/Area Number |
15590282
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Research Institution | TOIN HUMAN SCIENCE AND TECHNOLOGY CENTER, TOIN UNIVERSITY OF YOKOHAMA |
Principal Investigator |
西村 裕之 桐蔭横浜大学, 医用工学部, 教授 (60189313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小寺 洋 桐蔭横浜大学, 医用工学部, 助教授 (80205426)
広瀬 幸子 順天堂大学, 医学部, 助教授 (00127127)
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Keywords | 免疫寛容 / 自己免疫疾患 / SLE / 全身性エリテマトーデス / NZB系マウス / 疾患感受性遺伝子 / 遺伝連鎖解析 / Fc受容体 |
Research Abstract |
免疫系は生体を構成する構造"自己"と侵入する微生物の構造"非自己"を識別し、後者を攻撃・排除する機能であり、複雑な高次機能を担う系である。"自己"を攻撃しない"自己寛容"は免疫系の恒常性維持に極めて重要な機能であり、この破綻は多様な病態を示す自己免疫疾患をもたらす。自己免疫疾患は複雑な多因子疾患であり、近年ヒト自己免疫疾患家系を対象とした遺伝連鎖解析によってその感受性遺伝子を同定しようとする試みが精力的に行われているが、複雑な病態表現の連鎖解析では、自己寛容の破綻に主要な役割を果たす遺伝子は明らかにされていない。New Zealand Black(NZB)系マウスはSLEとその類縁の全身性自己免疫疾患への遺伝的素因を持つマウス系として重要視されている。我々はNZBマウスにおいて、自己寛容成立の基礎をなすと考えられる量的形質、抗原特異的な免疫寛容を誘導する能力が低下している現象に着目してゲノムワイドに連鎖解析を行った。すなわち、NZB系マウスと正常なC57BL/6系マウスを交配して、F2 intercrossマウス(雌)221匹を作製し、これらのマウスにおいて、人工的な免疫寛容原、超遠心分離によって精製したウシ免疫グロブリン(DBGG)あるいはポリエチレングリコール(PEG)で化学修飾した卵白アルブミン(PEG-OVA)を用いてNZBマウスにおける免疫寛容破綻を規定する遺伝子を探索した。その結果、第1染色体テロメアと第3染色体上に責任遺伝子の所在を検出した。第1染色体上の責任遺伝子の候補はB細胞の末梢における分化制御に関与する抑制性Fc受容体遺伝子、Fcgr2bであった。この仮説はFcgr2b欠損マウスが人工的免疫寛容原によって免疫寛容を誘導しない現象によって支持された。NZB系マウスのFcgr2b遺伝子にはプロモーター領域に独特の塩基配列の欠損があり、この配列多型に基づいて、リンパ節胚中心B細胞におけるFcgr2bの発現量が異常に低いことが、免疫寛容誘導能の不全と全身性自己免疫疾患感受性の基礎をなすと考えられる。第3染色体上の未知遺伝子についても同様の機能を担う遺伝子である可能性があり、現在その同定を目指している。
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Research Products
(5 results)