2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15590307
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
中村 直哉 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (50227922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 優子 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (60305357)
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Keywords | 悪性リンパ腫 / DLBCL / 免疫グロブリン遺伝子 / 乳腺 / non-germinal center B-cell / MIB-1 index |
Research Abstract |
外科的に摘出された乳腺腫瘤から悪性リンパ腫と診断された29例を登録した。29例のうち診断時に全身性に病変が拡がっているstage III及びIV期を除外し、乳腺腫瘤のみ(stage IE)、乳腺腫瘤と同側の腋窩リンパ節に病変が及ぶ症例(stage IIE)を乳腺原発悪性リンパ腫として解析した。Stage IE及びIIE 15例について詳細な臨床謬理学的解析を行ったほか、生物学的特性を明らかにするためにホルマリン固定パラフィン標本(全例)および凍結標本(5例)を用いた免疫組織化学を行い、さらに7例について遺伝子学的解析を追加した。 1)臨床病理学的解析 全例が女性で年齢分布は45歳から81歳、中央値は68歳であった。Stage IE 13例、stage IIE 2例で、両側発生例は含まれていない。腫瘤の大きさは直径5cm未満4例、5cm以上11例であった。直径5cm以上の6例が再発し、うち4例がリンパ腫により死亡していた。病理組織学的、免疫組織化学的に15例全例がびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma, DLBCL)であり、2例は低悪性度MALT型リンパ腫を伴っていた。 2)免疫組織化学によるマーカー解析 パラフィン標本を用いた解析結果はCD3;0/15(陽性数/検索数),CD5;2/15,CD10;0/15,CD20;15/15,CD21;0/15,CD23;0/15 CD27;0/15,CD30;1/15,CD40;4/15;CD56;0/15,CD138;0/15,Bcl-2;10/15,Bcl-6;5/15,IRF4/MUM1;15/15,granzyme B;0/15,LMP-1;0/15,Pax-5;4/15,p21;0/15,p27;7/15,p53;0/15,TdT;0/15 and TlA-1;0/15であった。MIB-1 indexは59.5%〜95.2%で平均79.2%であった。 3)遺伝子解析 7例について免疫グロブリン遺伝子重鎖可変領域(IgH-V)のsomatic mutation解析を行い、mutation頻度は1.43〜10.29%を示した。5例についてongoing mutationの有無を解析したところ、いずれの症例にも認められなかった。 【考察】 以上の結果から乳腺原発悪性リンパ腫はDLBCLの予後不良群であるCD10^-IRF4/MUM1^+ non-germinal center B cell DLBCL群(もしくはactivated B-cell DLBCL群)に属し、さらに腫瘍の増殖力に関係するMIB indexが高値を示すことがわかった。これらの生物学的な所見が臨床病理学的に予後不良であることに関連している。
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