2004 Fiscal Year Annual Research Report
混合性結合組織病(MCTD)における肺高血圧症機序の解明
Project/Area Number |
15590312
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
黒瀬 顕 岩手医科大学, 医学部, 講師 (70244910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤井 高志 岩手医科大学, 医学部, 教授 (00125577)
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Keywords | 混合性結合組織病 / 肺高血圧症 / 抗内皮細胞抗体 / アポトーシス / NK細胞 / サイトカイン / IL-2 / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
我々は従来より,リウマチ性疾患の病態生理について病理組織学的検索をもとに疾患の発症機序を推測し実験での実証を目指している.当該テーマもその内の一環である.混合性結合組織病(MCTD)は他の膠原病に比べて高率に肺高血圧症(PH)を生じ,これがMCTDの重要な死因を占めている.しかし発症機序は不明である.MCTDに続発したPHの病理組織学的検討から,以下の事が判明した.1)血管炎は生じていない.2)肺の線維化等,二次的にPHを発生させる変化は認められない.3)PHを合併していない肺ではPHを合併している肺と比べ,より細い血管に血栓形成や内膜浮腫性肥厚といった初期変化と考えられる病変がみられる.これらの事実から,血管内皮細胞傷害がprimaryな変化であるとの推測に至った.そこで血管内皮細胞のアポトーシスを中心とした解析を続けている.現在のところ,内皮細胞のアポトーシスに,NK細胞と抗血管内皮細胞抗体が関わっているのではないかとの見方から,MCTD患者血清における抗血管内皮細胞抗体価をフローサイトメータで測定し,抗血管内皮細胞抗体価と病態の解析を続けている.昨年度までに,未治療のMCTDや,PHを合併したMCTDにおいて抗血管内皮細胞抗体価が高い傾向をつかんでいる(一部有意差あり).現在でもMCTD患者血清を入手し蓄積されるたびに抗血管内皮細胞抗体測定と病態との関連性の検討を続けている.またin vitroでの血管内皮細胞のアポトーシスが如何に誘導されるかが現在の大きなテーマであり検討を続けている.今までのところ,NK細胞と抗血管内皮細胞抗体のみでは内皮細胞にアポトーシスを起こすに十分ではなく,これらに加え,NK細胞を活性化させる因子,および血管内皮細胞にアポトーシス誘導カスケードをブロックしている要因を解除させるような要因が加わったときにはじめてアポトーシスが生じると考えている.NK細胞を活性化させるものとしてはIL-2等のサイトカインが挙げられこれらはMCTDの病態の一部として起こりうると考えられる.また血管内皮細胞のアポトーシスカスケードは通常はブロックされているがこれを生じやすくさせるような因子の発現環境がMCTDで起こり得ないかを検討している.
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Research Products
(6 results)