2004 Fiscal Year Annual Research Report
β-カテニン/p53系による子宮内膜癌細胞の増殖制御及び分化誘導作用の解明
Project/Area Number |
15590313
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
三枝 信 北里大学, 医学部, 講師 (00265711)
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Keywords | Beta-catenin / p53 / p21WAF1 / p14ARF / senescence / endometrial cancer |
Research Abstract |
平成16年度は前年度に得られた結果を基に、変異型β-カテニン過剰発現による子宮内膜癌細胞の増殖抑制機構を明らかにした。 前年度と同様にβ-カテニン遺伝子(exon3)及びp53遺伝子(exons5-9)が野生型のIshikawa細胞を用いて以下の検索を行った。 1)Ishikawa細胞で、変異型β-カテニン遺伝子を恒常的に発現する細胞株を作成した。この細胞はコントロール細胞(mock)に比べ、p14ARF,p21WAF1,p53,cyclin D1の発現が亢進していた。又、形態学的に、細胞質が広くなり平面的な変化からなるsenescence様細胞の増加が認められた。 2)テトラサイクリンシステムを用いて変異型β-カテニン遺伝子発現誘導系を作成した。この結果、変異型β-カテニン発現誘導と一致してその転写活性の増加とその下流遺伝子(cyclin D1,p14ARF等)発現が生じ、さらに、X-gal陽性を示すsenescence細胞の増加を認めた。 3)臨床検体の内膜癌組織では、増殖能を欠く扁平上皮化生巣に一致して核内β-カテニン、p21WAF1,p53,cyclin D1の陽性所見を認めた。 以上の結果から、変異型β-カテニン過剰発現はp14ARF、のTCF binding siteを介してp14ARFの発現を誘導する。p14ARFはp53遺伝子発現を誘導し、p53/p21WAF系が活性化し、結果として細胞周期の停止作用及び扁平上皮様の形態変化をきたすことが示唆された。
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Research Products
(1 results)