2004 Fiscal Year Annual Research Report
病理長期保存材料を用いた低発現mRNA検出のためのISH法の改良と判定法の標準化
Project/Area Number |
15590315
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
佐藤 雄一 北里大学, 医療衛生学部, 助教授 (30178793)
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Keywords | in situ hybridization / 組織マイクロアレイ / パラフィン包埋 / ホルマリン固定 / β2-microglobulin遺伝子 |
Research Abstract |
In situ hybridization(ISH)法は特定の核酸(DNA、RNA)の配列やその発現を組織や細胞標本上で検出する方法であり、方法論の改良等が進み、通常のホルマリン固定・パラフィン包埋された病理長期保存材料でもmRNAの発現を検討出来るようになってきている。しかし、ホルマリン固定の時間や濃度、組織の保存期間によるmRNAの発現量の変化に関する検討はほとんどされていない。今回、10%ホルマリンで室温1日、2日、4日、8日、16日固定した肝臓、腎臓、膵臓、心臓、肺、大腸、副腎、胃、精巣、筋、甲状腺のパラフィン包埋組織から組織マイクロアレイを作製し、染色の条件を同一にした状態で、固定時間による発現量の変化を検討した。用いたプローブはハウスキーピング遺伝子のヒトβ2-microglobulin(β2M)に対する344塩基長からなるジゴキシゲニン標識cRNAプローブで、biotinylated tyramideを用いて高感度ISH法を行った(Suzuki T, Sato Y et al. Arch Histol Cytol 66:347-358,2003)。Proteinase K(PK)の条件は濃度5,10,20,30μg/mlの4ポイントを取り、処理時間は37℃で10,20,30分の3ポイントで検討した。その結果、固定時間別の比較では1日固定では全ての組織で最良の結果を得ることが出来た。2日固定でも若干染色性は低下するが、全ての組織で陽性であった。4日固定から染色性が低下し始め、8日固定では著しい染色性の低下が見られ、16日固定ではほとんどの組織で発現は認められなかった。PKの処理時間を一定にして、至適濃度を見ると、組織により至適濃度は異なっていることが明らかとなった。固定時間による染色性の低下を発色時間で補えるか否か検討したが、明らかな染色性の回復は認められなかった。以上、病理長期保存材料を使用する場合、ハウスキーピング遺伝子の発現を確認し、目的のmRNAの検索に適しているか確認する必要のあることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)