2003 Fiscal Year Annual Research Report
ジーンターゲティングによる新規癌抑制遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
15590335
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
井上 寛一 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (30176440)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原口 清輝 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (10324576)
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Keywords | 癌抑制遺伝子 / Drs / アポトーシス / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
我々がv-src癌遺伝子による癌化を抑制する活性を持つ遺伝子として新規に分離したDrs遺伝子は大腸癌、肺癌、前立腺癌、ATLリンパ腫など種々のヒト癌細胞株や悪性癌粗織でそのmRNA発現が消失している。またこれらヒト癌細胞株にDrs遺伝子を導入し発現させるとその悪性化形質が抑制されることからDrsはヒト癌の発生においても癌抑制遺伝子として働いていると考えられる。本年度、我々は主としてDrsノックアウトマウスを用いてDrsの機能と癌化抑制機構について解析をおこない以下のことを明らかにした。 (1)Drsは小胞体においてアポトーシス制御因子ASY/NogoB/RTN-XSと結合しcaspase-12,caspase-9,caspase-3を活性化する新規の経路によってヒト癌細胞にアポトーシスを誘導することを見い出した。 (2)Drs遺伝子欠損マウスは生後8-12ヶ月で約20%(7/30)にリンパ腫を中心とする悪性腫瘍を発生した。一方、野性型マウスでは腫瘍発生は認められなかった(0/18)。これらの結果からDrs遺伝子は悪性腫瘍の発生に抑制的に働いていることが遺伝学的に示された。 (3)Drs KOマウス由来のDrs欠損細胞(MEF)はラパマイシンやデキサメタゾンなどの薬剤によるアポトーシスに耐性を示した。またDrs欠損細胞はグルコース飢餓培地においてアポトーシスを引き起こした。したがってDrsは生理的条件下でも特定の刺激によるアポトーシスに関与していることがわかった。 これらの結果からDrsは新規アポトーシス経路を活性化することによって悪性腫瘍発生を抑制していることが示唆された。DrsKO細胞で明らかになったDrsが関わるアポトーシスの分子機構とDrs KOマウスにおける悪性リンパ腫瘍の発生機構を今後(次年度)明らかにしてゆきたい。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Qi, B.et al.: "Pro-apoptotic ASY/Nogo-B protein associates with ASYIP"J. Cell. Physiol. 196. 312-318 (2003)
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[Publications] Kim, C.J.et al.: "Down-regulation of drs mRNA in human prostate carcinomas"Human Pathology. 34. 654-657 (2003)
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[Publications] Shimakage, M. et al.: "Expression of Epstein-Barr virus in thyroid carcinoma correlates with tumor progression"Human Pathology. 34. 1170-1177 (2003)
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[Publications] Haraguchi, S. et al.: "nanos1 : a mouse nanos gene expressed in the central nervous system is dispensable for normal development"Mech. Dev.. 120. 721-731 (2003)
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[Publications] Tsuda, M. et al.: "Conserved role of nanos proteins in germ cell development"Science. 301. 1239-1241 (2003)
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[Publications] Tambe, Y. et al.: "A novel apoptotic pathway induced by the drs tumor suppressor gene"Oncogene. 23. 2977-2987 (2004)
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[Publications] Haraguchi, S. et al.: "Specific gene silencing in the pre-implantation stage mouse embryo by an si RNA expression vector system"Mol. Reprod. Dev.. in press.