2004 Fiscal Year Annual Research Report
マウス生殖系列成立機構と幹細胞システム制御機構の解析
Project/Area Number |
15590343
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 透 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (50280962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲野 徹 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 教授 (00172370)
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Keywords | 始原生殖細胞 / ES細胞 / Wnt / β-cateninシグナル / PI3K / Aktシグナル / 生殖細胞 / 幹細胞 |
Research Abstract |
哺乳類の生殖細胞は、分化全能性をもつ幹細胞から発生する。この最初の生殖系列細胞である始原生殖細胞(PGC:primordial germ cell)は、胚性幹(embryonic stem:ES)細胞と同等の分化能をもつ胚性生殖(embryonic germ:EG)細胞に「脱分化する」という性質をもつ。我々は、これまでに、PI3K/Aktシグナルの活性化が、PGCの脱分化を促進することを明らかにしてきた。本年度は、Wnt/β-cateninシグナルのPGCの発生における機能解析、PI3K/Aktシグナルの他の幹細胞システムにおける機能解析をおこなった。 (1)Wnt/β-cateninシグナルのPGCの発生における機能解析 PGCの発生過程では、Wntは発現しておらず、また、β-cateninが積極的に分解されていることから、Wnt/β-cateninシグナルは抑制されていることが分かった。PGCに、安定化型β-cateninを発現させ、Wnt/β-cateninシグナルを活性化させたところ、脱分化はおこらなかった。しかし、細胞周期に異常がおこり、生殖細胞が激減した。このように、生殖細胞の発生過程では、Wnt/β-cateninシグナルの抑制が、PGCの増殖に重要であることが明らかとなった。 (2)PI3K/Aktシグナルの他の幹細胞システムにおける機能解析 マウスES細胞に、活性化型Aktを発現させ、PI3K/Aktシグナルを活性化させたところ、マウスES細胞の未分化性維持に必要なサイトカインであるLIFを添加しなくても、ES細胞の未分化性・分化全能性を維持できることが分かった。マウスとは異なる機構が機能している霊長類のES細胞でも、同様の結果を得た。このように、PI3K/Aktシグナルは、種を超えて、複数の幹細胞システムを制御することが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)