2003 Fiscal Year Annual Research Report
VEGF欠損マウスにおける腫瘍代償機構の分子生物学的解析
Project/Area Number |
15590363
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Research Institution | Research Institute, Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Disaeses |
Principal Investigator |
井上 正宏 大阪府立成人病センター研究所, 生化学部, 主任研究員 (10342990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向井 睦子 大阪府立成人病センター, 研究所・生化学部, 主任研究員 (20342991)
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Keywords | 血管新生 / VEGF / トランスジェニックマウス / ノックアウトマウス / 遺伝子発現 / 低酸素 |
Research Abstract |
本研究を実行するためにRipTagマウスを米国より移入したが、国内で入手可能なC57B1/6Jマウス(日本クレア社)で継代を行ったところ、腫瘍形成が著しく低下する問題に直面している。以前よりRipTagマウスの腫瘍形成はバックグラウンドに依存することが知られている。使用したC57B1/6Jマウスは1986年にJacksonラボより移入され国内で維持されてきたが、その間にRipTagマウスの腫瘍形成能に影響する何らかの変化が起こっている可能性がある。現在、日本Charles River社がJacksonラボより新しく導入したC57B1/6Jマウス、および腫瘍形成能が確認されているDBAマウスとの戻し交配を行っている。 研究計画にある遺伝子発現の解析を行うためには凍結切片を得る必要があるが、上述のようなRipTagマウスの腫瘍形成能の低下のため遺伝子発現の解析が滞っている。そこで以前にパラフィン包埋したVEGFノックアウトRipTagマウス膵臓標本を用いて病理学的な解析を行った。その結果、病変は大きく2つのタイプに分類されることが判明した。第一のタイプは腫瘍内部がネクローシスに陥り周辺がリング状に発達したもので、腫瘍部分には血管はまったく存在しない(輪状腫瘍)。血流の供給は周囲臓器から受けているものと考えられる。第二のタイプは充実性でネクローシス部分を持たず、乏しいながら腫瘍内に血管が存在する(充実性腫瘍)。低酸素マーカー(pimonidazole)で染色を行ったところ、野生型の腫瘍と比較して二つの腫瘍型とも広範囲な低酸素領域を持つことが判明した。最近、腫瘍が低酸素環境に暴露されることによって、さまざまな悪性化形質が誘導されることが明らかにされている。今後これらの型間で遺伝子発現を比較検討し、血管新生の代償および低酸素下での生存の両面から解析を行う。本年は低酸素誘導遺伝子群についてRipTag腫瘍由来細胞株betaTC細胞を用い、量的PCRの条件設定を行った。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Hoffman, J., Giraudo, E., Singh, M., Inoue, M et al.: "Progressive vascular changes in a transgenic mouse model of squamous cell carcinoma."Cancer Cell. 4. 383-391 (2003)
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[Publications] Kizaka-Kondoh, S., Inoue, M., Harada, H., Hiraoka, M: "Tumor Hypoxia : a Target for Selective Cancer Therapy"Cancer Science. 94. 1021-1028 (2003)
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[Publications] Kusama, T., Mukai, M., Inoue, M et al.: "Inhibition of lysophosphatidic acid-induced RhoA activation and tumor cell invasion by 3-hydroxy-3-methylglutaryl- coenzyme A reductase inhibitors"Int J Oncol. 23. 1173-1178 (2003)
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[Publications] Kusama, T., Mukai, M., Inoue, M et al.: "Selective inhibition of cancer cell invasion by a geranylgeranyltrans ferase-I inhibitor"Clin Exp Metastasis. 20. 561-567 (2003)
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[Publications] Mukai, M., Iwasaki, Inoue, M et al.: "Cyclic phosphatidic acid inhibits RhoA-mediated autophosphorylation of FAK at Tyr-397 and subsequent tumor-cell invasion"Int J Oncol. 22. 1247-1256 (2003)