2003 Fiscal Year Annual Research Report
新興感染症病原体バベシアマイクロッティの抗原多型機構と系統分類指標遺伝子の解析
Project/Area Number |
15590367
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
斎藤 あつ子 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (00223131)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 伸弘 福井医科大学, 医学部, 助教授 (90003409)
|
Keywords | バベシア / ribosonmal RNA / internal transcribed spacers / 抗原多型 / 新興感染症 / 人畜共通感染症 |
Research Abstract |
本研究では、我国の新興人畜共通感染症であるバベシア症の病原体Babesia microtiの抗原多型機構を解明し、その分類学的意義を検討することを目的とし、以下の項目についての検討を計画した。(1)SSUrDNA Kobe-type、Otsu-type、US-typeの代表株、Kobe isolate、Otsu isolateおよびGI strain(合衆国由来標準株の1つ)について、それぞれの主要抗体認識抗原遺伝子をクローニングし、その性状を比較解析する。(2)同じSSUrDNA-typeを有する複数のB.microti株の間で、主要抗体認識抗原遺伝子の変異について解析する。(3)最近、SSUrDNAよりさらに細かな系統分類の指標遺伝子として注目されている、internal transcribed spacer 1および2(ITS1およびITS2)の塩基配列について、異なるSSUrDNA-typeの株間で、比較解析する。(4)同じSSUrDNA-typeの株間でもITS1、ITS2の塩基配列を比較解析する。(5)存在が推定される新たなSSUrDNA RokkoIo-typeの原虫株の分離を試み、分離できれば同様の検討を行う。 本年度は、まず、各地の野ネズミより新たな原虫の分離を試み、台湾の野ネズミからはSSUrDNA Kobe typeのMeishan strainの確立に成功すると共に、Otsu strain以外に、SSUrDNA Otsu-type7株を我国の野ネズミから分離した。しかし、新たなSSUrDNA RokkoIo-typeの原虫の分離は果たせなかった。これらの株にUS-typeの代表株、GI strain(合衆国由来標準株の1つ)およびN/A strain(アフリカの野ネズミ由来)を加え、まず、internal transcribed spacer 1および2(ITS1およびITS2)の塩基配列について比較解析したところ、同じSSUrDNA type間ではITS1およびITS2が90%以上のhomologyを示すのに対し、異なるSSUrDNA type間ではITS1およびITS2は50%〜60%のhomologyしか示さないことが明らかになった。現在、それぞれの株についてライブラリーを作成し、主要抗体認識抗原遺伝子をクローニングし、その性状を比較解析すべく、実験を開始している。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Dantrakool, A., Somboon, P., Hashimoto, T., Saito-Ito, A.: "Identification of a new type of Babesia species in wild rats (Bandicota indica) in Chiang Mai Province, Thailand"Journal of Clinical Microbiology. 42・2. 850-874 (2004)
-
[Publications] Saito-Ito, A., Yano, Y., Hashimoto, T., Dantrakool, A., Takada, N.: "Survey of rodents and ticks in human babesiosis emergence area in Japan : First detection of Babesia microti-like parasites in Ixodes ovatus"Journal of Clinical Microbiology. (in presss).
-
[Publications] 斎藤あつ子: "バベシア症"獣医寄生虫学会誌. 2・1. 21-26 (2003)