2004 Fiscal Year Annual Research Report
クロロキン耐性熱帯熱マラリアにおける感受性克服薬の探索
Project/Area Number |
15590373
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
大崎 敬子 杏林大学, 医学部, 助手 (90255406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春木 宏介 防衛医科大学校, 医学教育部, 助手 (30286421)
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Keywords | マラリア / クロロキン耐性 / リバーサル / 薬剤排出 / 緑膿菌 / 新規抗マラリア薬 / TPP |
Research Abstract |
今年度は主として1 ビスベンジルイソキノリンアルカロイドによるクロロキン耐性熱帯熱マラリア原虫におけるクロロキン排泄および蓄積に与える影響について、2 多剤耐性緑膿菌を用いた薬剤排出ポンプに与える影響について、さらに3 1の実験経過中に見出した新規の抗マラリア作用を有するH203に関するマラリア原虫発育抑制に関して、研究を行った。 1 ビスベンジルイソキノリンアルカロイドの混合物を用いてトリチウムでラベルしたクロロキンの取り込みに関する実験。 ビスベンジルイソキノリン存在下ではクロロキン耐性熱帯熱マラリアTM6株においてクロロキンの蓄積がコントロールに比べ最高4倍増加した。経時的には60分で最高値を示した。また高濃度のクロロキンで飽和したマラリア原虫からのクロロキン排出を観察した結果、アルカロイド存在下では排出が遅延しその排出率はコントロールの2分の1であった。マラリア原虫の各ステージにおけるクロロキン取り込みについても検討したがすべてのステージにおいてクロロキンの蓄積が認められた。色素であるTTP(Tetraphenylphosponium)をアルカロイドの対象薬として用いた結果アルカロイドと同様の結果が得られたがその濃度はアルカロイドの100倍を要した。またアルカロイドがマラリア感染赤血球の溶血を阻害することも経過中に見出された。アルカロイドによる膜電位の変化に関する実験は膜電位の低下は確認したが十分な結果はまだ得られていない。 2 薬剤排出ポンプ高度発現緑膿菌およびその野生株を用いた実験ではビスベンジルイソキノリンアルカロイドによる薬剤排出抑制は認められなかった。 3 実験経過中ある既存薬で抗マラリア作用を有する薬剤H203を発見した。効果はクロロキン耐性株であるK1に対してIC50が30nMと低く、今後のこの系に属する薬剤の側鎖などの構造を変化させることによる研究など将来、新規の抗マラリア薬の開発につなげるという意味で期待された。
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