2004 Fiscal Year Annual Research Report
ラット糞線虫の生存戦略としての排虫と大腸寄生について
Project/Area Number |
15590376
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
木村 英作 愛知医科大学, 医学部, 教授 (70153187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉野 昌孝 愛知医科大学, 医学部, 教授 (70046077)
伊藤 誠 愛知医科大学, 医学部, 助教授 (90137117)
角坂 照貴 愛知医科大学, 医学部, 講師 (90109760)
近藤 繁生 愛知医科大学, 医学部, 講師 (20097786)
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Keywords | ラット糞線虫 / 宿主・寄生虫関係 / 大腸寄生 / 排虫 / 抗酸化剤 / SOD |
Research Abstract |
ネズミ糞線虫Strongyloides ratti(Sr)は人の糞線虫S.stercoralisに類似し、そのモデルとなつている。Sr成虫はネズミの小腸にのみ寄生し大腸寄生は存在しないと考えられていたが、我々は、ラットの感染実験において少数の大腸寄生を確認すると共に、大腸寄生は単なる偶然の結果ではなく、Srの生存戦略として重要である可能性を示した。すなわち大腸寄生の成虫は(少数でも)間接発育(heterogonic development)を通じて小腸寄生の成虫よりはるかに効率良く子孫(感染幼虫:L3)を産生するのである。しかし、野生のネズミに大腸感染が認められない(と信じられていた)ためにこの理論は受け入れられなかった。 我々は、68匹の野鼠(Rattus norvegicus)を捕獲し、大腸寄生の有無を調べた。その結果、実に32.4%に大腸感染が発見された。また、野鼠1匹当たりのSr感染数は4.7匹と少数であったが、動物実験により、4.7匹の成虫は1日当たり4,638匹ものL3を産生することを示した。野鼠における大腸寄生数は3-5月に最も多くなるので季節と生存戦略の関わりも有るようである。 大腸寄生が生存戦略であるならば、他の多くの宿主・寄生虫関係で見られるように、Srは宿主の防御反応を逆利用して大腸寄生を維持しているのではないか?このような仮説に立って種々の検討を重ねた結果、(1)抗酸化剤によって小腸寄生に影響を与えることなく大腸寄生のみを消去することが出来た。また、(2)小腸と大腸のSrはSOD(superoxide dismutase)にかなりの差異があることも確認された。これらの予備データを基に、Srの大腸寄生を誘導・維持するメカニズムを追及中である。
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Research Products
(6 results)