2003 Fiscal Year Annual Research Report
腸球菌薬剤耐性プラスミドのフェロモン非依存性高頻度接合伝達系の分子遺伝学的研究
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15590382
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
谷本 弘一 群馬大学, 医学部, 助教授 (40188389)
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Keywords | 腸球菌 / 接合伝達性プラスミド / 転写調節 |
Research Abstract |
pMG1プラスミドは腸球菌から分離されたゲンタミシン耐性プラスミドであり、これまで報告されていない接合伝達系を持つ事が示唆されたことからこのプラスミドの接合伝達系について研究を行ってきた。平成14年度までの研究でpMG1プラスミドの全塩基配列の決定を行い、その結果を用い転写産物の解析を行ったところtra遺伝子群は複数の転写単位によって成り立っていた。一番大きな転写単位をコントロールする遺伝子(ORF20)があり、この遺伝子への挿入によって下流の多くの遺伝子が一切転写されなくなった。また、この遺伝子がtrans働いて下流の1つの転写単位をコントロールしている事が示唆されていた。 これまでの結果を踏まえ平成15年度においては以下の3点を明らかにした。 (1)DNA塩基配列から得られる情報を元に予測されるプロモーター配列をクローン化しLacZ遺伝子とのfusionを構築し腸球菌において実際の活性を調べたところ、ORF20の直前には強力なプロモーターがあった。そしてその活性はORF20::Tn917挿入変異株においては著しく低下した。一方、ORF20::Tn917変異によって影響を受けていた他の転写単位に属する遺伝子の転写がクローン化されtransに供給されるORF20によって回復しなかった。これらの結果から他の転写単位に対して如朋に働くと考えられる正の調節因子はORF20それ自体ではなく、ORF20プロモーターによって転写される遺伝子の産物である事が明らかになった。 (2)ORF20の上流にある転写単位における挿入変異によってORF20の転写が増大する事が知られていたが、この変異によってORF20の調節を受けないORF44より下流の遺伝子の転写が増大する事も明らかになった。この結果から抑制的に働く因子はtra遺伝子全体の発現に関与している事が強く示唆された。 (3)DNA断片をクローニングベクターにクローン化し、pMG1によって可動化されるかどうかを調べる事によりoriT領域を決定したところORF44の直前に存在する約180bpの領域がoriT活性を持つ事が明らかになった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Tomita H, Tanimoto K, Hayakawa S, Morinaga K, Ezaki K, Ohshima H, Ike Y: "Highly conjugative pMG1-like plasmids carrying Tn1546-like transposons that encode vancomycin resistance in Enterococcus faecium."Journal of Bacteriology. 185. 7024-7028 (2003)