2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15590402
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Sciences |
Principal Investigator |
大野 尚仁 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (80152213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安達 禎之 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (60222634)
三浦 典子 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (30218036)
滑田 祥子 東京薬科大学, 薬学部, 助手 (80339100)
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Keywords | 敗血症 / NSAIDs / β-グルカン / 抗生物質 / 腸内細菌 |
Research Abstract |
感染症から敗血症性ショックが誘発されると,死亡率は著しく上昇する.敗血症性ショックのメカニズム解析はかなり進められ,病態は明らかにされつつある.しかし,敗血症患者数は増加の一途をたどっている.これまでの敗血症メカニズム解析モデルとして,エンドトキシンを静脈内に投与するものが汎用されている.その作用は一過性であり,急劇なものであるため,臨床状態を十分に反映しているとはいい難い.そこで我々は免疫賦活物質であるβ-グルカンと非ステロイド性抗炎症薬であるインドメタシンの併用処理により誘発される,臨床状態により近い敗血症モデルを作製した.これまでの解析により,高サイトカイン血症や腸内菌叢のトランスロケーションが致死発現に大きく関与していることが明らかとなっている.そこで,薬剤併用による内因性敗血症モデルマウスを用いて,ショック誘発に最も関連すると思われる高サイトカイン血症とそれに伴う肝不全の原因を追求し,制御法の開発を目的としている.本年度は,本モデルにおける腸内細菌の及ぼす影響に着目し検討した.本年度得られた研究実績の概要を以下に示す. β-グルカン/インドメタシン併用投与マウスは,血中,腹腔内,肝臓,脾臓,肺など各組織において多数の細菌が検出されている.内因性敗血症モデルと提唱することからも,その原因菌は腸内細菌であると考えている.そこで,広域スペクトルをもつペニシリン系抗生物質を予め経口投与並びに自由飲水より摂取させることで致死毒性に与える影響について検討した.その結果,基本系における平均生存日数は5.8±1.5日であったが,抗生物質の投与により,9.1±3.1日となり改善傾向を示した.さらに,抗生剤併用投与マウスの腹腔浸出細胞培養上清中の炎症性サイトカイン(TNF-α,IL-6)産生は低下し,エンドトキシン感受性の低下を示した.今後は,様々な抗生剤による感受性について検討すると共に,原因菌の追究を試み本モデルの解析を通じて敗血症ショックの本質と治療法の開発に貢献したいと考える.
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Research Products
(1 results)