2004 Fiscal Year Annual Research Report
細胞性免疫を優位に誘導する毒素原性大腸菌の変異LTの粘膜アジュバント機構の解析
Project/Area Number |
15590403
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
辻 孝雄 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (60171998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越智 定幸 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (80268705)
有満 秀幸 藤田保健衛生大学, 医学部, 助手 (40367701)
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Keywords | 粘膜アジュバント / 易熱性下痢毒素(LT) / 細胞性免疫 / 変異毒素(mLT) / Th1 / Th2バランス / マウス骨髄マクロファージ / IL-12 / TNFα |
Research Abstract |
毒素原性大腸菌の産生する易熱性下痢毒素(LT)は種々の抗原と同時に経鼻投与すると粘膜アジュバント活性を示す。我々は毒性が低く、水痘ウイルス(VZV)(J Med Virol. 70:329-35.2003.)、インフルエンザワクチン(Vaccine. 19(15-16):2071-2079、2001.)、ボツリヌス毒素(J. Med. Microbiol. 51,813-820.2002.)に優れた粘膜アジュバント効果を持つ変異毒素を報告した。特にVZVに関して、液性免疫よりは細胞性免疫誘導に強力なアジュバント効果があることを明らかにし、水痘ワクチンウイルス(Oka株)の構成糖蛋白質にも細胞性免疫を優位に誘導することを明らかにした。一般に水痘ウイルス感染予防には液性免疫の誘導よりは、むしろ細胞性免疫の強弱が非常に関連しているといわれている(J. Med. Virol. 69.451-458.2003.)。従って、今回我々の作成した変異毒素は水痘ウイルスワクチンの経鼻投与を可能にし、有効な感染予防効果を誘導できる可能性を示唆している。また、変異LT毒素がVZV抗原などに対して細胞性免疫を優位に誘導することは、変異毒素が他の抗原に対するTh1/Th2 T細胞反応をTh1に傾倒させることを示す。そこで、本研究ではマウス骨髄マクロファージ(Mφ)を用いて、Th1/Th2バランスのTh1への傾倒過程に重要な役割をしている、Mφから産生されるIL-12に、変異毒素(mLT)が影響を及ぼすか検索した(Vaccine. in press.2005.)。 その結果、 1.髄Mφに対して、正常LT、mLTはIL-12p40産生を増加させた。 2.コレラ毒素、(CT)、CT-Bは,骨髄MφからのIL-12p40誘導に影響しなかった。 3.LTで刺激された骨髄Mφでは、IL-12p40 mRNA, IL-12p35 mRNAの上昇も認められた。 4.IL-12p40のmLTによる上昇は、mLTの加熱で消失し、ポリミキシンB処理で残存した。 5.IL-12p40の上昇は抗TNFα抗体で一部阻害された。 以上の結果から、mLTによるVZVに対する細胞性免疫増強作用は、mLTが直接Mφに作用して、IL-12産生を増強し、Th1/Th2バランスをTh1に傾斜させていると考えられ、その増強因子としてTNFαが関与していることが示唆された。
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Research Products
(7 results)