2003 Fiscal Year Annual Research Report
HIV-1感受性微小血管周皮細胞が分化に伴い非感受性に変化するメカニズムの解明
Project/Area Number |
15590412
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
大上 厚志 群馬大学, 医学部, 講師 (80260107)
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Keywords | HIV-1 / 内皮細胞 / 周波細胞 / 分化 / 逆転写酵素 / 脳微少血管 |
Research Abstract |
ヒト脳微小血管より分離した周皮細胞がHIV-1変異株に感受性であり、HIV-1変異株のレセプターとして機能するCD4とコレセプターのGPR1の再考を発現していることを明らかにした。生体内では、周皮細胞は内皮細胞の基底膜側に位置し、血管の恒常性維持や血管新生において重要な働きをしている。また、それらは脳内では物賞透過を制御する血液脳開門の主要な構成細胞でもある。そこで、より生体内の環境に近い条件であるヒト脳微小血管由来内皮細胞(Human Brain Microvascular Endothelial Cell 以下、HBMEC)と周皮細胞(Human Brain Pericyte 以下、HBP)の共存培養系を用いて、HIV-1感染試験を行った。コンフルエントに達したHBMECにHBPを加えて培養すると、HBPは樹状突起形成を伴う著しい形態変化を示すとともに、平滑筋アクチンの発現が強く誘導されてきた。HIV-1感染後、培養上清中の逆転写酵素(RT)活性を測定したところ、HBP単独ではHIV-1感染の成立が再現して認められたが、共存培養HBPおよびHBMEC単独では、RT活性は検出限界以下であった。共存培養HBPにおいても細胞表面におけるウイルスレセプター(CD4,GPR1)の発現は陽性であった。感染後、細胞内で逆転写酵素により合成されたウイルスcDNAをPCR法で検出したところ、共存培養HBPでは、合成初期と後期cDNA産物量の低下と合成される時間の遅延が認められた。さらに、後期cDNAの核内移行の指標となる2-LTR circleが検出限界以下であった。従って、感染HBPは逆転写過程において、HBMECから抑制性の制御を受けている可能性が考えられた。
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