2004 Fiscal Year Annual Research Report
ラットモデルを用いたHTLV-I TAXの生体内での機能解析
Project/Area Number |
15590413
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大橋 貴 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教授 (10282774)
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Keywords | HTLV-I / Tax / ATL / siRNA / CTL / animal model |
Research Abstract |
ATLの発症過程にはウイルス蛋白であるTaxが重要な役割を果たしている。Taxはウイルスと感染細胞の増殖を促進する一方で、CTLの標的として宿主の免疫応答にも関与している。このことから、HTLV-IによるATL発症機序の理解には、Taxによる感染細胞の癌化機構とウイルスに対する免疫応答を中心とした宿主側の発癌防御機構について対照的に研究することが重要である。本研究では、ラットHTLV-I感染T細胞にTaxを標的にしたsiRNAを導入し、Taxの発現が生体内での免疫応答や細胞増殖におよぼす影響を解析した。Taxに対するヘアピンsiRNA発現ベクター(pEGFP-1/siTax)は、マウスU6 RNAプロモーターを組み込んだpEGFP-1に挿入し作製した。はじめにpEGFP-1/siTaxをラットHTLV-I感染T細胞株FPM1.BPに導入し、Tax発現低下細胞の樹立を試み、発現が60%低下しているサブクローン(FPM1B-siTax27)を得た。一方で、40クローン得たpEGFP-1/siTax導入細胞において、60%以上Tax発現が低下した細胞は確認できず、ある程度のTax発現が感染細胞の増殖に必要であることが示唆された。さらに、FPM1B-siTax27細胞はコントロール細胞と比較してヌードラットでの腫瘍形成・転移能が著しく低下している一方で、Tax特異的CTLに対する感受性も低下していることが確認された。この結果は、Taxの発現抑制により、HTLV-I感染T細胞が生体内での生存に不利になる一方で、宿主免疫系からのエスケープという有利な形質を獲得することを示している。本モデル系は、ATL発症過程での感染細胞と宿主免疫系との相互作用の一端を再現している可能性が示唆され、ATL発症機序の解明、予防法の開発に有用であると考えられた。
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Research Products
(6 results)