2004 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザウイルスゲノムのパッケージング機構の解析とウイルスベクターへの応用
Project/Area Number |
15590419
|
Research Institution | Kawesaki Medical School |
Principal Investigator |
藤井 豊 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (30274054)
|
Keywords | インフルエンザウイルス / ゲノム / セレクティブ / インコーポレーション / ベースペアリングモデル / ベクター |
Research Abstract |
これまでは、インフルエンザウイルス・ゲノムのインコーポレーション・シグナルは、蛋白質非翻訳領域にあると考えられていた。そこには全ての分節に共通な配列が存在しているため、その共通配列がシグナルとして働くという前提でランダム・インコーポレーション説が唱えられてきた。それに対し、各分節に固有のシグナルがあるとするセレクティブ・インコーポレーション説があったが、これも蛋白質非翻訳領域にシグナルがあるのが前提だったため、どちらの説も万人を納得させられるものではなかった。本研究では、1999年に開発されたプラスミドからのインフルエンザウイルス・リバースジェネティクス系を駆使し、レポーター蛋白質GFPを発現するNA分節の変異ウイルス(NA-GFP)を作製し、NA分節のインコーポレーション・シグナルは蛋白質翻訳領域のRNA配列にあることを明らかにした。 蛋白質翻訳領域のRNA配列には、全ての分節に共通している配列は無いこと、ウイルス遺伝子が細胞内に8種類、7種類、6種類存在する時では粒子形成効率が異なり、8種類ある時が最も効率が良いこと、HA分節のインコーポレーション・シグナルも蛋白質翻訳領域にあり、NA分節の配列とは共通していないこと、等から、インフルエンザウイルスの各ゲノムは固有のシグナルによりセレクティブ・インコーポレーションをしていることを示した。 作製したNA-GFPウイルスは外来遺伝子にNA分節のインコーポレーション・シグナルを付加したもので、この方法により外来遺伝子が効率よくウイルス粒子に取り込まれることを示した。NA-GFPウイルスはin vivoでも外来遺伝子を保持、発現し、蛋白質発現ベクターとしての条件を満たすものと考えている。
|
Research Products
(5 results)