2004 Fiscal Year Annual Research Report
炎症・免疫応答におけるマクロファージ遊走阻止因子(MIF)の機能の解明
Project/Area Number |
15590430
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西平 順 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30189302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩渕 和也 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教授 (20184898)
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Keywords | MIF / マクロファージ / エンドトキシン / 遺伝子改変動物 / 血管新生 |
Research Abstract |
Macrophage migration inhibitory factor (MIF)は遅延型アレルギー反応や敗血症など免疫応答や炎症に密接に関与するサイトカインとして広く知られているが、我々はMIFが腫瘍細胞増殖や血管新生を促す機能も有することを明らかした。しかしながら、その詳細については未だ明らかにされていない。このことを明らかにするために、MIFの分子機能についてさまざまの角度から検討を加え、これまで幾つかの有意義な結果を得ている。 まず、マウス大腸癌Colon26細胞を用いて、MIFが癌の浸潤、転移を促進することを発見し、そのメカニズムとしてGTP結合蛋白質Rhoの活性化に依存することをシグナル伝達系の解析から明らかにした。癌細胞の浸潤に関与するmatrix metalloproteinase (MMP)の発現上昇のシグナル伝達系に関する研究では、MIF刺激によりMMP-13の顕著な発現の上昇が認められたが、さらにIntegrin beta-1の発現を亢進することも明かにした。具体的な実験方法は、MIF siRNAの導入により、MIFの機能解析を行った。siRNAの導入により、細胞内MIFは80%以上knockdownされた。その場合、細胞増殖速度は約50%に減少した。同時に細胞浸潤におけるMIFの関与を明らかにするため、siRNAを導入した細胞を用いて、Millipore Chamber法により検討したところ、siRNA導入により、細胞浸潤は有意に抑制された。また、細胞浸潤に密接に関連する分子として知られているFAKの活性化も抑制された。 次に、in vivoにおける転移実験を行った。siRNAで処理したColon26細胞を門脈から導入し、肝臓の重量、癌の転移個数、組織学的検討を行った。肝重量、転移個数ともにsiRNA処理により有意に減少した。また、組織学的検討を行ったが、血管新生も有意に抑制された。これらの結果から、MIFは癌の浸潤、転移のメカニズムに密接に関与していることが証明された。 さらに、MIFの新たな分子機能として、内皮細胞をMIFで刺激すると、Trombinの発現が有意に上昇することから、Thrombin刺激による細胞応答にMIFが関与することも発見した。今後、血栓症などにおけるMIFの機能に関心が集まっている。
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Research Products
(8 results)