2004 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ球ホーミングを司る高内皮細静脈に特異的な接着制御の分子機構
Project/Area Number |
15590437
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 稔之 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (30217054)
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Keywords | 高内皮細静脈(HEV) / リンパ球ホーミング / L-セレクチン / L-セレクチンリガンド / リンパ球ローリング / 細胞接着 / 糖鎖修飾 / Nepmucin |
Research Abstract |
【目的】リンパ球ホーミングを支配する特異な小静脈である高内皮細静脈(high endothelial venule : HEV)に特異的な細胞接着制御機構を明らかにするため、本年度は独自に同定したムチンドメインとIgドメインを持つ新規分子Nepmucin(mucin not expressed in the Peyer's patches)の機能について、以下の解析を行った(研究申請時の名称・HEV-2を改名)。【結果と考察】(1)Nepmucinはムチンドメインを介してL-セレクチンリガンド・コア蛋白質として機能する:NepmucinのムチンドメインはHEVに特異的な糖鎖修飾酵素群の働きによりL-セレクチン結合性の糖鎖付加を受け、L-セレクチンリガンドとして機能する可能性が考えられた。そこで、HEVが発現する糖鎖修飾酵素群(フコース転位酵素VII, L-selectin ligand sulfotransferase,コア1延長酵素、コア2転移酵素)を遺伝子導入したCHO細胞によるL-セレクチン結合性糖鎖発現系を用いて、L-セレクチン結合性糖鎖修飾を施したNepmucinを作製し、そのL-セレクチンリガンド活性をフロー条件下のローリングアッセイで検定した。その結果、糖鎖再構成型Nepmucinはフロー条件下でリンパ球ローリングを媒介し、このローリング反応は抗L-セレクチン抗体およびL-セレクチン反応性糖鎖を認識するMECA-79抗体で特異的に阻害されることから、NepmucinがL-セレクチンリガンド・コア蛋白質として機能することが初めて示された。また、リンパ節可溶化物から精製したL-セレクチン反応性糖蛋白質と、抗Nepmucin抗体を用いたWestern blot解析の結果、リンパ節に発現する90kDaと70kDaのNepmucin isoformがL-セレクチン結合性糖鎖修飾をうけることが明らかになった。(2)NepmucinはIgドメインを介してリンパ球の接着制御に関与する:野生型およびIgドメインあるいはムチンドメインを欠失する組換え型可溶性Nepmucinを固相化し、マウスリンパ球との結合試験を行った。その結果、NepmucinはそのIgドメインを介して、リンパ球の接着を媒介することが示唆された。また、このNepmucinへのリンパ球接着は、NepmucinのIgドメインを特異的に認識する抗Nepmucin抗体(ZAQ3)で強く抑制された。さらにNepmucinの第一・第二エクソンを欠失させるターゲティングベクターの作製を完了した。
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Research Products
(3 results)