2003 Fiscal Year Annual Research Report
セレクチンリガンドPSGL-1を介する白血球ローリングを制御する分子機構
Project/Area Number |
15590438
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平田 多佳子 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (00346199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮坂 昌之 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50064613)
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Keywords | 白血球ローリング / 接着分子 / セレクチン / インテグリン / PSGL-1 / LFA-1 / ICAM-1 / Th1細胞 |
Research Abstract |
白血球が血管系から組織内に移行するためには、白血球の血管内皮表面でのローリング、内皮に提示されたケモカインによるインテグリン活性化、強固な接着、血管外への遊出といった連続したステップが起きることが必須である。われわれは、白血球に発現するP-selectin glycoprotein ligand-1(PSGL-1)が、血管内皮細胞に発現するP-セレクチンおよびE-セレクチンの生理的リガンドとして機能し、白血球ローリングを媒介することを明らかにしてきた。PSGL-1を介する白血球ローリングは、PSGL-1の発現や局在の変化により制御される可能性が示唆されるが、その分子機構は未だ明らかでない。本研究では、PSGL-1の細胞表面での局在変化と、白血球血管内皮相互作用における生理的意義を明らかにするため、マウスTh1細胞を用いてPSGL-1刺激による本分子の局在動態およびインテグリンを介する細胞接着に与える影響を解析した。Th1細胞表面のPSGL-1を抗PSGL-1抗体(2PH1)および二次抗体を用いてクロスリンクすると、PSGL-1分子のキャップ形成とインテグリンLFA-1の局在変化が見られた。また、プレートに固相化したICAM-1に対する接着性が亢進し、さらにIP-10やRANTESによるICAM-1への接着がPSGL-1のクロスリンクにより亢進した。PSGL-1刺激によるICAM-1への接着性の亢進をより生理的な条件下で調べるため、ローリングした細胞のICAM-1への接着をフロー条件下で検討したところ、P-セレクチン上をローリングした細胞のICAM-1への著明な接着亢進が認められた。したがって、PSGL-1とP-セレクチンの相互作用を介したローリングにより惹起された情報伝達がインテグリンの活性化を引き起こす重要なメカニズムの一つであることが示唆された(投稿準備中)。
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