2004 Fiscal Year Annual Research Report
HTLV‐1pX過剰発現による自己免疫性関節炎発症促進機構
Project/Area Number |
15590439
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石原 克彦 大阪大学, 生命機能研究科, 助教授 (10263245)
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Keywords | IL-6 / gp130 / マウスモデル / STAT3 / 関節リウマチ / HTLV-1 / pX / 樹状細胞 |
Research Abstract |
IL-6ファミリーサイトカインに共通する受容体gp130の759番目のチロシン(Y759)に変異を持つノックインマウスgp130^<F759/F759>では、Y759を介する抑制性制御を欠くために転写因子STAT3の活性化が遷延する結果、免疫反応が亢進し、関節リウマチ(RA)類似の自己免疫性関節炎を自然発症する。ヒト成人T細胞白血病の原因ウィルスHTLV-1のpXの過剰発現によりRA様関節炎を発症するマウスpx-Tgとgp130^<F759/F759>との交配により新たな関節炎マウスモデルを作出した。二重変異マウスgp130^<F759/F759>/pX-Tgではpx-Tgによる関節炎発症抵抗性のC57BL/6の遺伝子背景にもかかわらず、関節炎の発症と進行が著しく促進された。関節滑膜組織の免疫染色により滑膜のマクロファージや線維芽細胞のIL-6産生とリン酸化STAT3の核への局在が検出され、関節炎局所におけるgp130信号の関与が示された。IL-6^<-/->/gp130^<F759/F759>/pX-Tg三重変異マウスでは関節炎の発症と進行が著明に抑制され、IL-6の重要性が示された。gp130^<F759/F759>/pX-TgにおいてIL-6依存性に増強した異常;脾臓細胞数、血清IgG,リウマトイド因子、抗dsDNA抗体、リンパ節におけるナイーブCD4T細胞の比率の低下、メモリー・活性化CD4T細胞、活性化CD8T細胞及び好中球の増加、樹状細胞におけるクラスIIMHC^<bright>な成熟細胞の比率の低下などは関節炎の病態と密接な関連を示唆した。IL-6/STAT3の信号を介する樹状細胞の成熟抑制性制御を試験管内および生体内で証明した。gp130^<F759/F759>/pX-Tgは、遺伝子素因(gp130の点変異)と環境因子(ウィルス感染)の相乗作用により関節炎の発症と進行が促進される興味深いモデルである。
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Research Products
(6 results)