2004 Fiscal Year Annual Research Report
T細胞の分化および活性化におけるRac1の機能の解明
Project/Area Number |
15590440
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
鈴木 春巳 山口大学, 医学部, 助教授 (70235985)
|
Keywords | Rac / T細胞分化 / bc1-2 / 正の選択 / アポトーシス / Pax5 / プロB細胞 / アクチン |
Research Abstract |
Rac1はRhoファミリーに属するsmall GTPaseであり、アクチン繊維の再構成に重要であることがよく知られている。Rac1の恒常活性型変異トランスジェニックマウスでは正の選択が負の選択へと変換することが報告されているが、ノックアウトマウスを始めとした機能喪失変異についてはまだ報告されていない。我々はT細胞分化におけるRac1の機能を解明する目的で、ドミナントネガティブ型変異Rac1遺伝子(Rac1-N17)のT細胞分化に対する効果を検討した。T細胞分化に対する影響は、放射線照射マウスに移入することによりT細胞分化を再構築することができるPax5欠損プロB細胞を用いた実験系を利用した。Rac1-N17とGFPの融合タンパク遺伝子をレトロウイルスベクターに組み込んでPax5欠損プロB細胞に発現させ、RAG2欠損(CD45.1)マウスに移入することにより胸腺を再構築した。Rac1-N17遺伝子を強発現している胸腺細胞はCD4CD8ダブルポジティブ段階までは多数存在しているが、CD4およびCD8-SP細胞は著しく減少していた。Rac1変異遺伝子導入DP細胞においてはTCR刺激によるERKの活性化、CD69の発現は阻害されていないが、アクチン再構成が強く阻害され、さらにアポトーシスが著しく増大していることが明らかとなった。以上のことから、Rac1はDNからDPへの分化には必要ないが、正の選択には重要であり、その作用機序としてはアクチンの再構成のみならず、抗アポトーシス作用においても重要な働きをしていることが示された。
|
Research Products
(1 results)