2003 Fiscal Year Annual Research Report
BALB/cマウスマクロファージにおけるプロスタグランジン産生増強機構の解析
Project/Area Number |
15590444
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
山下 優毅 産業医科大学, 医学部, 教授 (00028680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 悦史 産業医科大学, 医学部, 助手 (10299604)
吉田 安宏 産業医科大学, 医学部, 助手 (10309958)
杉浦 勉 産業医科大学, 医学部, 講師 (40131924)
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Keywords | BALB / c mouse / macrophage / prostaglandin / PLA_2 / arachidonic acid / PGE synthase / IL-12 / IFN-γ |
Research Abstract |
免疫反応の誘導において重要な役割を果たすヘルパーT細胞は細胞性免疫反応を引き起こすTh1と液性抗体産生反応を引き起こすTh2の2つのサブセットに分類される。一般に、BALB/cマウスはC3H/HeNやC57BL/6などの他の系統のマウスと比較して、外来抗原や感染に対してTh2が活性化しやすく、その結果、血清IgE高値や好酸球増加を呈しやすい。しかしながら、BALB/cマウスにおける過度のTh2活性化の機構については不明な点が多い。プロスタグランジンE_2(PGE_2)は免疫抑制効果を有することが知られているが、近年、特にTh1型の免疫反応に対して強い抑制効果を有することが明らかとなっている。我々は、免疫反応の調節におけるPGE_2の役割について解析してきている。今回BALB/cとC57BL/6マウスを用いて、マクロファージによるPGE_2産生の系統差と、Th1活性化との関連について解析し、以下の結果を得た。 (1)BALB/cマウスのマクロファージはC57BL/6マウスのマクロファージに比べて、大量のPGE_2を産生した。 (2)PGE_2の産生量に比例して、BALB/cマウスマクロファージはIL-12産生と、T細胞のIFN-γ産生に対する補助能が低下していた。 (3)PG合成阻害剤であるインドメタシン又はPGリセプターアンタゴニストで処理すると、BALB/cマウスのマクロファージ、T細胞のサイトカイン産生は著明に亢進した。 (4)BALB/cマウスマクロファージではアラキドン酸の遊離と分泌型フォスフォリパーゼA-2の発現が増強していたが、シクロオキシゲナーゼ-2の発現に差はなかった。 (5)遊離のアラキドン酸を加えるとPGE-2の産生が増強したが、C57BL/6マウスマクロファージの低下したPGE_2産生はBALB/cマウスのレベルまでには回復しなかった。 (6)PGE_2合成の最終段階の酵素であるミクロゾームPGE合成酵素もBALB/cマウスマクロファージで増強していた。 以上より、BALB/cマウスマクロファージでは、アラキドン酸の遊離に必要な分泌型フォスフォリパーゼA_2及びミクロゾームPGE合成酵素の発現の増強により、大量のPGE_2が産生され、その結果として、マクロファージのIL-12産生が低下し、最終的にTh1サイトカインの産生が抑制されることが明らかになった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kuroda, E., Yamashita, U.: "Mechanisms of enhanced macrophage-mediated prostaglandine E_2 production and its suppressive role for Th1 activation in Th2-dominant BALB/c mice"Journal of Immunology. 170. 757-764 (2003)
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[Publications] Kuroda, E.Yamashita, U.: "Assay system for the effect of prostaglandine E_2 in the determination of polarized cytokine production"Methods in Molecular Biology. 249. 229-238 (2003)
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[Publications] Kito, T. et al.: "Cytotoxicity in glioma cells due to interleukine-12 and interleukin-18-stimulated macrophages mediated by interferon-γ-regulated nitric oxide"Journal of Neurosurgery. 98. 385-392 (2003)
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[Publications] Yamashita, U. et al.: "Effect of endocrine disrupters on thymocytes in vitro"Journal of UOEH. 25. 161-170 (2003)
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[Publications] Yamashita, U. et al.: "Effect of endocrine disrupters on immune responses in vivo"Journal of UOEH. 25. 365-374 (2003)
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[Publications] Sugiura, T., Yamashita, U.: "Strain difference of cadmium-induced cytotoxicity, metallothionein expression and cytokine production in mice"Journal of UOEH. 25 S1. 237-248 (2003)