2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15590455
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
榊原 陽子 名古屋大学, 医学部附属病院, 助手 (50262910)
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Keywords | 集中治療 / 院内感染 / 呼吸器関連肺炎 / ヘパリン誘発性血小板減少症 / HIT / 安全管理 |
Research Abstract |
重症患者を扱い高額医療費がかかる部門として認識されている集中治療部門では、質の高い医療を安全にまた経済的に提供するため、医療の標準化を図る必要性がある。集中治療部門で遭遇する頻度が高く、患者や医療施設が受ける影響が強いと思われる(1)院内感染、及び(2)ヘパリン起因性血小板減少症について、発生、経済性などについて検討した。 (1)院内感染:集中治療を受けている間に併発した感染を調べた結果、呼吸器関連肺炎が最も多く、カテーテル関連血流感染と尿路感染は殆ど発生していないことがわかった。従って、院内感染として患者転帰や経済性に影響を及ぼすものは呼吸器関連肺炎であると考え、それを併発した患者について重症度、人工呼吸器装着日数、在院日数、転帰、診療報酬点数を調べたところ、病院転帰と在院日数、人工呼吸器装着日数と在院日数、診療報酬点数と在院日数で相関を示したが、集中治療部門への入室時の重症度であるAPACHE IIスコアは相関を示さなかった。以上のことから、呼吸器関連肺炎を併発すると、人工呼吸管理期間及び入院期間が延び、また医療費が増加するため、患者や家族にとって、身体的にも経済的にも負担が増加することがわかった。医療施設にとっても、院内感染は現在医療施設の安全管理の面では重要な位置を示すものであり、医療の質を問われることになると同時に、経済的に損失を被ることになると考えられた。 (2)ヘパリン誘発性血小板減少症(HIT):集中治療部門ではヘパリンに暴露される機会が多く、HITを併発する危険性が高く、また併発すると障害部位によっては予後の悪化や在院日数が延長することが考えられるため、近年注目を集めている合併症である。スクリーニングの必要性について血小板数の推移とHIT抗体を入室患者について調べたところ、臨床的にHITと判断しても抗体検査は陰性であり、検査のコストの面からみてもスクリーニングの必要性はないと判断できた。
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