2004 Fiscal Year Annual Research Report
エンドトキシン病態における薬物の生体膜輸送の分子機構論的解析
Project/Area Number |
15590484
|
Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
長谷川 高明 愛知医科大学, 医学部, 教授 (80198720)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 健次 名古屋大学, 医学部, 助教授 (80126870)
北市 清幸 名古屋大学, 医学部, 助手 (40301220)
|
Keywords | エンドトキシン / 生体膜輸送 / トランスポーター / サイトカイン / TNF-αノックアウトマウス |
Research Abstract |
本研究では、エンドトキシン病態における薬物の生体膜輸送機能および解毒機構に対するサイトカインTNF-αの関与、並びにエンドトキシンの種差を解明することを目的として、TNF-α遺伝子ノックァウトマウスを用いて検討したところ、以下の成績が得られた。 1.エンドトキシン病態時における肝薬物代謝酵素能とCYP3A2およびCYP2C11の発現に及ぼすペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR-γ)のリガンドの影響について検討したところ、PPAR-γのリガンド(ピオグリタゾン)はエンドトキシンによる肝薬物代謝酵素活性とCYP3A2発現の低下を抑制すること、この低下は一酸化窒素(NO)の過剰産生によるものでないことが示唆された。 2.エンドトキシン病態時における肝チトクロームP450と薬物トランスポーター(P糖たん白質)の発現低下に対するTNF-αの役割について、TNF-αノックアウトマウスを用いて検討したところ、TNF-αはエンドトキシンによる肝のP糖たん白質の発現低下に重要な役割を果たす一方、CYP3A2およびCYP2C11の発現低下に対しては防御効果を発揮していることが示唆された。また、TNF-αノックアウトマウスにおいては、TNF-α以外のサイトカイン類が内因性のTNF-αの欠如に対して代償的に働いていることが示唆された。 3.代表的なグラム陰性菌(大腸菌、肺炎桿菌、緑膿菌)から分離したエンドトキシンの肝チトクロームP450および薬物トランスポーターの発現と機能に対する効果を比較検討したところ、エンドトキシンによるCYP3A2の発現低下作用は緑膿菌が最も弱かったものの、CYP2C11に対しては3種類がほぼ同等の効果を示した。また、肺炎桿菌由来のエンドトキシンは肝臓のP糖たん白質の発現を緑膿菌由来のエンドトキシンよりも有意に低下させたが、大腸菌由来のエンドトキシンは変化を与えなかった。さらに、いずれのエンドトキシンも多剤耐性関連たん白質(Mrp2)の発現には影響を与えなかった。
|
Research Products
(7 results)
-
-
-
-
-
-
-
[Book] 新しい図解薬剤学2004
Author(s)
長谷川 高明 他12名
Total Pages
600
Publisher
南山堂
Description
「研究成果報告書概要(和文)」より