2003 Fiscal Year Annual Research Report
DNAマイクロアレイを用いた抗癌剤選択のための遺伝子検査法の開発と臨床応用
Project/Area Number |
15590498
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
宮地 勇人 東海大学, 医学部, 助教授 (20174196)
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Keywords | 白血病細胞 / 抗癌剤耐性 / DNA マイクロアレイ / 個別化治療 / 遺伝子 |
Research Abstract |
癌の治療において治療抵抗性すなわち耐性は重要な課題である。耐性機構を知るには、特定の抗癌剤に特異的な分子薬理学的機構、癌の発病・進展に重要な遺伝子など、多くの遺伝子の発現を解析する必要がある。本研究では、治療反応性の指標となりうる新たな耐性遺伝子のスクリーニングのため、株化培養白血病細胞における遺伝子発現プロファイルをDNAマイクロアレイ(DNAチップ)法で解析した。マイクロアレイは、630個の癌関連遺伝子のcDNAをアレイ上に張り付けたHuman Cancer CHIP version 3.0(TAKARA)を用いた。耐性細胞として、trimetrexate(TMQ)に200倍耐性化した株化培養ヒトリンパ性白血病細胞MOLT-3/TMQ200を用い、対照として親株細胞を用いた。MOLT-3/TMQ200細胞は、多剤耐性の形質とmethotrexate交差耐性を獲得し、その分子機構としてMDR1発現およびDHFRの遺伝子変異を有する。蛍光色素(Cy3またはCy5)標識cDNAは、それぞれの細胞から抽出したRNAから逆転写反応にて作製した。精製したcDNAは、アレイのスポット上のプローブと競合的にハイブリダイゼーションし、各スポットからのシグナルイメージは、自動蛍光検出器Scan Array 4000(General Scanning社)にてスキャン後コンピュータ解析した。その結果、MOLT-3/TMQ200細胞において、低発現の遺伝子を除外し136個の遺伝子発現の変化が確認され、その内、15遺伝子の発現量が相対的な比が1以上、MDR1を含む4遺伝子が相対的な比が2以上を示した。MDR1以外にDNA修復や転写因子関連の遺伝子発現増加が明らかになった。新規の耐性遺伝子発現は、耐性化した細胞の検出の指標となり、また新たな治療標的とした耐性克服剤など治療怯の開発につながると期待される。現在、新規の耐性遺伝子発現の機能分析中である。
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