2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15590501
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
福永 壽晴 金沢医科大学, 医学部, 講師 (70121259)
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Keywords | pH / pCO_2 / pO_2 / 血液ガス測定用標準物質 / トノメトリー |
Research Abstract |
平成15年度は血液ガス測定用標準物質による正確さの調査(1〜4)と数種類の分析装置にトノメート血による検討(5)を行った。以下にその結果を示す。 1)平成15年に新しく製造された血液ガス測定用常用標準物質(pH,pCO_2,pO_2の各項目に標準値と不確かさの大きさが値付けされたヘモグロビン溶液で3濃度/セット)2セットを125施設・137台(33機種,7メーカー)に配布し正確さの調査を実施した。試料の保存および測定は使用説明書に従って測定した。 2)測定結果:pHは各濃度とも標準値±0.03の範囲に90%以上の分析値が入ておりpHについては殆どの分析装置で正しく測定されていることが分かった。pCO_2については高濃度の試料のばらつきが大きく、中・低濃度ではほぼ正確に測定されている。pO_2では測定値の分布が正規分布ではなく2〜3峰性の分布を示し、特に中・高濃度で大きなばらつきを示し、半数以上の装置で正確さに問題があることが示された。 3)補正効果:1セット目の結果を基に補正式(直線回帰式)を作成し、2セット目の結果を補正した。全体として補正値は真値に近づいており補正が有効なことが示された。補正前後を項目別に比較すると、pH・pCO_2では補正全より補正後の分布はばらつきが小さくなり幅の狭い正規分布を示した。pO_2では2〜3峰性を示していた分布が補正後は表示値を中心とした分布となり峰の数も減少し、80%以上が正確な補正値となった。 4)補正式の経年変化:参加施設全体を対象に補正式の経年変化を見ると、補正式に一定の傾向は見られなかったが、1セット目と2セット目の測定値の差が小さい施設を対象に補正式を見ると補正式の傾きに殆ど変化がなく、よく管理されている分析装置では年間を通じて補正式は殆ど変化しないことがわかった。 5)ヒト血液によるトノメトリーと標準物質の比較では両者に差はなく、標準物質が電極に対してヒト血液とよく似た反応性を示すことが分かった。また、ヒト血液トノメート血での補正式も経年変化があまりみられなかった。 以上、血液ガス分析値の標準化は血液ガス測定用標準物質を定期的に用いることで可能と思われるが、平成16年度は、機種間差や経年変化について更に詳細な検討を行う予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 福永壽晴, 東由佳, 長口涼香, 山本博之, 中村まり子, 中村正人, 野島孝之: "血液ガス・電解質測定装置OMNI Cの精度評価"Sysmex Journal Web. 4・1. 4-11 (2003)